少年陰陽師 禍つ鎖を解き放て/結城光流
角川ビーンズ文庫
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周囲に人家はない。
空は今にも泣き出しそうに、どんよりと
足元を照らす
やがて、足音がふつりとやんだ。
「………ここね」
風に
盛り上がった土の山。これは人々に忘れ去られた墓だ。訪れる者もいないのか、枯草が地表を
頭からかぶった布で、その者の顔は
「───闇に
蛇が盛り土の上に落とされる。全身をくねらせた蛇は、
裂け目から
「……
盛り土を覆う枯草が、何かに押し上げられるように大きく
蛇の
風が
「…地に
人影のまとう
盛り土の裂け目に、灰色の
『…………』
声ならぬ重い声が、風を
はっきりと
そのうめきに重なって、冷厳と響く
「
いまやはっきりと形を持った
殺意にも近い視線を動じることもなく受け流し、術者は口を開く。
「……
『………憎い…』
憎い。憎い。憎い。
「そう…。憎い。お前だけがこんな果ての地で命を終えて、なのに……」
布をまとった術者は満足そうに
「お前を
全身から
憎い。
恨鬼──
『あの男─────!』
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