第606話 目的は.4
エルファラの魂を捕らえて封印し、帰還途中の勇者を不意打ちで襲って全滅させた。魔王と戦い消耗しきった勇者は、得意の反撃もできずに、その胸に深々と大剣を突き立てた。
魔力を奪い取り、エルファラの魂を捕らえた魔具で勇者の魂も封印した。
人間どもに絶望を与えるために、勇者の仲間一人だけ呪いを施して止めを刺さなかった。
そして、そのまま勇者の体に残った神の縁を辿り、ウローダスの転移の力を使い神の元へ手を伸ばした。
神と言っても、ただの小娘だった。
勇者を殺され、混乱したところの襲撃。
突然の事に神の対応が遅れた。
このまま神の全ての力を喰らい、その地位に俺が成り代わってやろう。
『させません』
抑揚のない声が。
もう少しで神に指先が届くというときに割り込んできた。
白い、人のような者。
背には翼が生え、整った顔には焦りがにじんでいた。
神にはもう届かない。
ならばと、その翼の人を掴み、喰らった。
その瞬間、『天使』の力全てと、天使が担っていた権限を全て奪い取ることができた。だが。
『!?』
それと引き換えに、天使は魔王と勇者の魂を封じた石を何処かへと転送した。勇者の魔力も一緒に、だ。
しまった、と。失敗したと思った。
強制的に縁が切られて魔界に送り戻された時、手元には何もなくなっており、その代わり転移の道具として使用していたウローダスの体に天使が宿っていた。
神との縁が切られ、折角手に入れた魂二つと魔力も強奪され、相変わらず『管理人認証印』も使い物にならないが、一つだけ手に入れた。
ウローダスの中に天使の力が宿ったのだ。
元々壊れていたウローダスに拒絶反応などなく、スムーズに融合が進んだ。
魔力が向上し、特殊な力までも手に入れた。
これはこれで使える。
次の戦争に向けて準備をしていると、妨害をしてくる『ノア』という観測者を見付けた。
どうやら神にまで手を出したことで流石に不味いと思ったようだが、飛んで火に入る夏の虫である。
まんまと捕らえ、喰らってやろうとしたところ、予想外に抵抗されて全て喰らう前に逃げられた。
だが、悪魔にとっての契約の要である『名前』と、『観測者』としての能力を奪えた。残念ながら神との縁は奪えなかったが、これで妨害をしてくることはないだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます