第590話 第三の門番.7
不自然に存在している空間に辿り着くと、辺りを警戒しつつしゃがむ。すると、粒子で姿が露になっている双子が驚いたようにこちらを向いた。
「二人はこの鏡で色んな魔法を封じてきたんだろ?何かあの影が出てこなくする方法はないのか!?」
双子は互いに視線をキョロキョロとさせながら、互いにお前が言えみたいに押し付けあっていたが、ウコヨが観念して布を捲るような仕草をした。
すると、本当に姿が現れた。
いつもラビの現れ方に疑問を持っていたが、なるほど。本当に魔法を捲っていたのか。
「…………あの、えーとぉ…」
言い淀むウコヨ。
それを襲ってくる影を斎主で防御しながら次の言葉を待つ。
「普通は、二つの合わせ鏡を閉じれば効果が無くなるんだよ。でも、ここの部屋は閉じることができない」
「…つまり?」
「助言ができない」
役に立たない!!!!
「あ、でもでも、あの草頭のやってることは正しいいんよね!実物があって、後ろの影から発生しているのなら逆効果だけど、この影は影として実態持っているから強い光を当てれば薄まって消える!」
「そうよ!あれも光関連だから透過するものは意味ないし、存在としてしっかりと確定できないと存在できない!ほら、見てよあれ!」
突如会話に参加してきたサコネの言葉に頷くウコヨが指を差す。
その先には影が排出されている鏡。たが、何も変わったところは見られない。
相も変わらずベルトコンベア式に影が生成されているだけだ。
オレが何も言わずに首を捻りながら示す方を見てみると、ウコヨが説明を始めた。
「あれは一種の影送りっていう魔法よ!写し出す対象がしっかりと写っていれば、その輪郭をいくらでも複製できるの!だから姿のない私達と、ボヤけているライハ達は複製されない!」
「鏡も凪いだものしか機能発揮しないし!こうやって影ができない状態になっていれば、敵と認識できない!って、ぎゃあーー!!こっち来てる!!」
「退散退散!!」
バフンと再び姿を隠された。
「……………つまり、どうすれば良いんでしょう?」
「うーん…」
放電で影を消しながら考えてみるが、良い案が浮かばない。
他のメンバーも苦戦しており、アレックスがランダムで現れる扉へと向かうとことごとく偽物で「ファ●キュー!!(怒)」等と中指を立てながら激怒し、影へと怒りをぶつけていた。
ニックもニックで、倒さないとならない優先度が高く付けられたのか先程よりも多く
元々攻撃は物理オンリーだった二人はいつも通り。
ネコはもはや何処にいるのかわからん。
「それにしても、あの、気のせいかも知れないのですけど、影にうっすら色が付いてきていませんか?」
「え、まじですか?」
確かに、影にうっすらと色が。そしてそれはさっきまでの影とは違い、攻撃力や耐久力が増していた。
これは、時間を掛ければその内──
思わず唾を飲み込んだ。
トロトロしていたら此処で全滅する。
何かないか!?
影を止める方法!
本当の扉の在りかでも良い!
魔力の目で見ても全ての鏡は光っていて役に立たない。
そこで、はたと思い付いた事があったが、うまくいく保証が…。
──『何をもたついているんだ!影を止めるなら鏡の特性を潰せば良いだろう!』
そこでエルファラから助言が降ってきた。
鏡の特性を潰す。
その言葉がオレの思い付いた一つの可能性の作戦へと繋がった。
「ユイさん!!」
声を掛ける。
賭けだ、でも上手くいくかもしれないという自信もあった。
「霧を発生させてください!!」
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