第219話 休養中.3
クユーシーの後を追って、村の外れにある泉へとやって来た。しかしその泉は酷く濁り、黒い油のような物が浮いている。しかも水位がとても低くなっているようで、普段水に浸かっているだろう水草が剥き出しになっていた。
「ウンディーネ!ウンディーネ!出てこられるかい?」
クユーシーが手を口許にしてウンディーネを呼ぶ。
ゴポッと粘着性のある音を発しながら、ウンディーネが顔を泉から出した。しかし、そのウンディーネの姿も昨日とは違い体が黒く変色し、表情も苦しげだった。
「何でこんな…、昨日の泉は澄み切っていたのに」
「アウソは元の泉しってんの?」
「ああ、何回か見てる。救援を要請したときも、ここでウンディーネを復活させたんだ」
復活ってことは、あの時やっぱり消滅してたのか。
「いつから?」
「わからないんです。精霊達が騒いでて見に来たらこんな事になってて…」
クユーシーの顔色が悪い。凄くショックを受けているのだろう。
だけど、悪魔も魔物もいないのに、なんでこんな事になっているんだ。
毒か?
戦いの影響で地殻変動でも起きた?
考えていると、隣でアウソが上着を脱いでいた。
「何してんの?」
「ウンディーネには凄く世話になったから、放ってはおけんさ」
「いや、それはオレもだけど。まさか潜るの?」
この黒い水の中に?
「うん」
頷くアウソ。
マジか。
いや確かに潜った方が色々分かるかもだけど、こんな視界が悪い水に潜って何かあったら。
「~~~っ!わかった!オレも行くわ!」
「ライハさんも!?」
クユーシーが驚きつつオレとアウソを交互に見る。何かあっても二人なら、何かしらの対策は取れるだろう。
幸い泳げなくはないし、何かあったら即ネコに連絡して引き上げてもらおう。
「ネコは何かあったときの為に待機!」
『あ、はい』
最近待機多いけど、多分絶対こいつは嫌だと言うだろうからな。
「俺はいいけど、てか、ライハ息どのくらい持つば?」
「……………頑張って30秒」
「潜って上がるだけしか出来ねーじゃねーかよ!」
突っ込まれた。
「あの、それなら良いものを持ってるので少し待ってて貰えますか?」
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