第210話 エルトゥフの森での攻防.17
「しばらくは隠れながら、様子を見ーーー!!」
三人が耳が破壊音を拾い上げ、音の発生方向を見ると赤い玉が高速で木を弾き飛ばしながら飛んできていた。
「やばっ」
狙われているのはキリコ。
赤い玉を弾こうとした瞬間、突然加速し、そのままキリコに着弾した。激しい爆発が起こり、キリコが防御したものの威力が強く吹き飛ばされた。
「キリコさん!!」
「キリコ!!」
木に叩き付けられ、背中を強打したようで蹲りながら背中を押さえる。
『おー?一匹殺ったか?』
「!」
すぐ隣から声がした。
気配がしなかった。いつから近くにいたんだ?
体が恐怖からか動けない。
辛うじて横目で確認すると、赤みがかった肌の男で、体の所々を鱗が覆い、腰から下にはマグマが蛇のようになっている。
手には三叉の矛。
「げほっ…」
キリコが咳き込み、リューシュを睨み付けた。
『なんだ。思ったよりも頑丈だな。よし、ならお前でいいや。死んで起爆剤となってもらおう』
矛先がこちらを向き、先端に魔力が集まり始める。
逃げなければと思うが、体が酷く重い。
もがく内にも魔力が赤い光を放ち始め、頭が激しく警告を発している。
向こう側でカリアが男に襲い掛かろうとしているが、多分間に合わない。
視界一杯にマグマの塊が形成され、リューシュがそれを解き放つ瞬間。
『グルオオオオオオオオオ!!!!!』
猛獣の雄叫びが聞こえ、何故か木が吹っ飛んできた。
「え」
「は?」
『!!』
木がリューシュに直撃し、そのままキリコの方向へと吹っ飛ぶ。
「わああ!!」
突然の事に驚き、珍しく焦った声をあげたキリコがその場から離れると、ちょうどキリコがぶつかった木にリューシュと飛んできた木が突っ込んだ。
マグマがその衝撃で空高くへと打ち上げられ、視界から消える。
「………」
一瞬の出来事に呆然とする。
『良かった!!間に合ったぁー!』
聞き覚えのある声。
黒々とした艶のある長い尻尾が、鞭のようにしなりながら揺れる。
大きな体躯、逞しい脚に鋭い牙。
金色の瞳が安堵したように細められた。
『助っ人とうじょー!!』
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