第211話 エルトゥフの森での攻防.18
「ネコ!ナイスタイミング!!」
ネコにグッジョブサインを送ると、ネコも器用にグッジョブサインを返してきた。練習の成果か、既に第三の手と化している。いや、ネコだから第一の手か。
「危ないじゃない!」
ギリギリ回避したキリコがネコ怒るが。
『確かめている暇なかったし』
と返す。
「喧嘩してる場合じゃないよ!」
そこへカリアが割り込み、リューシュが突っ込んだ場所を見ると、ボコボコと音を立てながら地面が溶けて赤いマグマと化していく。地面が溶けるって…。
乾いた笑いも出ず、真顔になるしかない。
「ライハ、あのリューシュはまた厄介な属性を持っている。気を付けるよ」
「爆発ですよね、気を付けます」
「? いやそれもだけど、他のやつ」
「え?そんなのありましたっけ?」
はてなが頭の上に浮かぶ。
カリアの頭の上にもはてなが浮かぶ。
「体が凄く重くなって動きにくくなったでしょ?」
「!」
確かに体が酷く重くなった。
あれ恐怖でじゃなかったのか。
良かった、また威圧負けしたのかと思った。
「あれ魔法だったんですか」
「多分、重さを変えたり、引き寄せたりする奴よ。厄介なやつだから気を付けな」
「了解です」
それならば対策はとれるはずだ。
『クフフフ…。いやぁー、参ったね。まさか同胞がそちらに加担しているとは。いや、責めているのではないよ、指令範囲から漏れた野良だったのかもしれんしな』
焼け崩れた木の下から無傷のリューシュがゆっくりと立ち上がる。
『ただ、喜ぶべきは、楽しい暇潰しの時間が伸びるということだ!!』
リューシュから重い圧が放たれる。
ビリビリと空気が震える。威圧だ。
だが、持ちこたえた。
修行の成果か、いや、隣にいるカリアが相殺してくれている。カリアは目を細め、深く呼吸をした。
その目には、普段見られない光が宿っていた。
「暇潰しね、なるほど。その暇潰しに付き合ってやろうじゃないか」
口調が真剣なものへと変わる。
「!」
カリアから魔力が溢れ出ていた。
普段は全く出さないカリアが魔力を出すとは。
『ライハ、ネコどうすればいい?』
虎ほどのネコが隣にやって来る。
その目はリューシュから離さず、耐えず観察を続けていた。
「…隙をみて、急所を付く。それか、アウソが来るまで持ちこたえる。そういえば、クユーシーは?」
『精霊を集めて貰ってる。ライハが視覚を繋げてくれていたから、ウンディーネが消滅したことも知ってるし、足の早い精霊が後を追ってくれてるからそろそろ着くと思う。風が来るよ』
風の精霊が先に到着か。
『では、楽しもうか!!』
リューシュの周りに巨大な火の玉が5つ形成され、次の瞬間、地獄が始まった。
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