第203話 エルトゥフの森での攻防.10
お使いを頼まれたアウソが森の奥へと駆けていく。うまくいくと良いけど。
「さて、じゃあコッチもいけるところまで踏ん張るよ!」
体のストレッチをしつつ、目の前の火の鳥の渦巻きを観察する。今のところ変化はないが、多分敵を察知すると一斉に襲ってくるんだろうな。
ところであの火の鳥であるが、不思議な魔力をしていた。
普通、生物はその形に沿っての魔力の靄があるのだが、この鳥達は中心部に靄が集まり、しかも近くの靄と糸のようなもので繋がって網のようになっていた。
それを辿りながら大元を探していく。
複雑な形をしているが、所詮魔力を通わせる生き物。きっとこの形になっている原因があるはずた。
キリコも探しているが、どうやら広範囲に広がりつつ、回転しているせいでボヤけて分かりにくくなってるらしい。
辺りを見回す。
魔力の糸が近くの木にも繋がっていて、蜘蛛の巣の中心に渦巻きを作っているようにも見える。なんだろう?罠?
よく分からないので地面に書き出しながら情報を伝えた。
「じゃ、囮はコッチが引き受けるよ」
多分罠だし、と懐の銃と弾薬をキリコに手渡しながら言う。
初めは回復能力が高いオレかキリコがやると立候補したのだが、遠距離攻撃を持つ二人が待機していた方が良いと言われてしまった。
あと。
「だいたい、近付いて来て発動する罠が周りの木が飛んでくるとかだったらどうするよ?そんで上から炎攻撃とか」
考えてみたが、ちょっとまだオレには早いかもしれないとか思ってしまった。
受け流しの技は教え込まれているものの、多方向からのものはまだ練習不足だ。
「でもカリアさん、防御力高いっていっても熱や火は大丈夫なんですか?」
先程の攻撃でまだ赤みが引ききれてない所があるのは知っていた。
「うん、一応考えも奥の手もあるし、これも預かってるしね」
と、カリアが何故かアウソの槍を出す。
そういえば、あいつ手ぶらで駆けていったな。
「あの火の鳥も囮だろうから、コッチが一手に引き受けてる間に本体を見付け出して叩いてちょうだい」
「無理しないでくだざいよ」
はいはい、と手を振り、アウソの槍を背負って悠々と歩いていった。
「大丈夫ですかね…」
「師匠の心配の前にあんたはやらないといけない事に集中しなさい」
「うい」
黒刀を手に、魔力と粒子モードで辺りを見回しながら変化しているところを探す。何処かおかしいところはないか。カリアの様子を見つつ、二人掛かりで木や地面を探るが今のところは特になにもない。強いて言うなら、魔力の糸は木だけではなく、地面にも繋がっていることか。
流れも一方向ではなく、粒子事態も問題がないように思えた。本当に本体はいるのか?もしかしてアレが本体なんじゃないか?
カリアを見ると、だいぶ群れに近付いていた。
そして、群れの真下にまで来ると、とうとう動きを見せた。
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