第165話 迷宮へようこそ~邂逅~
あてもなくウロウロさ迷ってどのくらいたっただろうか、そろそろお腹すいてきたなと思い始めた時。
「!!!」
すぐ目の前の地面から先程のとは色と模様が違うヴィーゥが現れた。
オレは慌ててその場から逃げようと、方向転換すると、なんとそこにもヴィーゥが!!
逃げられない!!
カパリと口を開いたヴィーゥはまたしてもあの大音量砂嵐攻撃を仕掛けてきた。
「このっ!!」
すぐさま近い方のヴィーゥに雷の矢を放ったが、なんと額を貫いたのにも関わらずヴィーゥは無傷で音を発し続けた。
ガクンと足元の地面が崩れ落ち、また砂に飲み込まれる瞬間、遠くから何かが凄い速度で迫ってきて、オレの手に絡み付いた。
覚えているのはそこまでだ。
真っ暗闇だった。
上も下も、右も左も。
それなのに足は地面にしっかりと着き、目の前に翳した掌は何故かはっきり見えた。
「ん?」
首を傾けた。
掌から腕にかけてネコの尾と融合している模様がある。なんでだ?
尾の先を辿っていくと、途中からきちんとした尾の形になり、更に辿るとフードに続いている。
フードの中にふわふわとした感触があって、直感的にネコだと分かった。
もしかしてまた砂に呑まれているオレを助けようとしてくれたのだろうか。
気を失っているようだが、呼吸は安定しているのを確認して、胸の奥が少しじんわりとするのを感じた。
「こんにちは」
ノイズ混じりの女性の声が聞こえた。
なんだと声の方向を向くと、人の形をした何かが居た。
白い影のようなものが、ホログラムで見掛けるノイズを撒き散らしながらもこちらに向かって姿勢を正しく立っている。
ノイズの合間に見ることができた影の奥に、若い女性の姿があった。
眼鏡を掛け、あちらのスーツのような物を着ている。
「貴方がライハ・アマツさんで間違いないですか?」
女性がそう言う。
なんでオレの名前を?
「はい、そうですけど」
警戒しながらも返すと、女性はホッとしたように胸を撫で下ろした。
一体この人は何なのか、そもそも此処は何処なのか、積もる不信感を隠すことなくその人の次の言葉を待っていると。
「私、“フリィダン”から紹介された、ダリス・テータスと言うもので、俗に言う世界を管理する神を生業にしています」
更なる爆弾が投下されたのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます