第154話 ハンター試験.5

次はC-の試験だ。

ここから一気に難易度が上がる。


魔物(マヌムン)が魔法を使い始めるのだ。

それだけが危険ランクってわけではないが、一般的にはこのタイプだ。


そして出てきたのは昔のディ⚫ニーに登場しそうな生き物だった。


シマウマの頭には羊のような立派な巻き角が生え、下顎には髭。頭からお尻にかけて鎧に似た鱗、トンボの様な羽が背中から伸びていた。

大きさは普通の馬程だが、なんと言うか、おしい天馬という感想が飛び出た。


名前も知らん魔物マヌムンだ。

どんな攻撃の仕方をするのかも不明だが、アウソのランクで戦う魔物だ。

気を付けて損はない。


『ブルルラ』


天縞馬の羽がパタパタと羽ばたき始め、そのままスーっと上昇した。


真上に上昇出来るのか、お前。

スゲーな。


『バフッバフッ』


「ん?」


角の先が光っている気がする。


目を変えて魔力を見てみると、角の先に魔力が凄い勢いで集まってきていた。

あ、これはヤバい感じだ。


『ブルルラル、ヒヒヒヒン!!』


慌ててその場から飛び退くと、角から何かが高速発射されて、地面に複数の穴が開いた。


「ゲッ!?」


転がりながら天縞馬の様子を確認するとこちらに体を向けている途中で、またしても角に魔力を集めていた。


「こりゃ駄目だ!」


更に強く地面を蹴って逃げると、先程までいた地面を何かが貫いていった。


何だあれは。

地面に開いた穴はまるで銃創だ。


『ヒヒヒヒヒ』


天縞馬が飛びながら嗤っているかのような鳴き声を上げた。

なんかムカつくな。


「にゃろっ!」


体制を建て直しながら雷の矢を天縞馬に射つ。


すると天縞馬はまるでトンボのように素晴らしい機動力で矢を回避した。


うまマジかよ。


『ブヒヒヒヒン!!』


「!!」


角の横にいつの間にか鉄パイプ程の大きさの針が四つ生成されていた。

まさか撃ってくるのか!?あれを!?


『ブルフッ!!』


「うわああ!?」


ガンっ!ゴンッ!ドンッ!と、針が地面に突き刺さる。その間を縫うように逃げるオレを天縞馬はまるでヘリコプターのように上から追跡し、針を撃ってくる。


アウソこんなの倒したの!?

どうやって倒したんだよ!!


『ヒヒヒヒヒ』


「ちっ!」


練習中だったけど仕方がない。


雷の矢をつがえる。

ただし、今回は三つ。


雷の矢は、矢という名だが実際に矢ではない。

矢の形をした電気の塊である。

一つ一つは個として存在しているわけではなく、指先からの放出した高圧電流を矢の形に変えているだけ。

それを増やす。


ズババンとエコー掛かった音を残して矢が時間差で飛んでいく。

しかしそれを天縞馬は空中宙返りも駆使して避けやがった。ホバリングも出来るしなんなのこいつ。


「!」


再び針が飛んでくる。


それを回避しながら、オレはいかにしてあの腹立つ天縞馬を地面に落とせるかを考えていた。

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