第152話 ハンター試験.3

やばい、なんか楽しくなってきた。


高揚感に包まれ始める。

これ確実にカリアやキリコの影響を受け始めてるな。調子に乗らないように注意しないと。


「……おおう」


次の対戦相手は白い毛玉だった。

額に一角を持ち、白いふわふわに包まれた丸いフォルム。つぶらな瞳。そして、特徴的な長い耳。


ワイト角兎ホーンビットの成獣でした。


何だろう、この威圧感。

三メートルの兎がこんなにも威圧感があるなんて。


てか、ええ…。


「……」


短剣を構え、少し近付いてみると耳と目が同時にこちらを向いた。

めっちゃ警戒されてる。


さて、どうしよう。


こんなに警戒されてるとやりにくいな。


「とりあえず様子見」


雷の矢をつがえて射った。


すると、角兎は当たる直前に大きく跳躍した。

矢は脚を掠めたが、どうも効果は薄い。威力を弱めすぎたか?


「お?ーー!!」


慌ててその場から逃げると角兎の巨体が降ってきた。

地面にめり込む前足。

軽く揺れる地面。


「こっわ!」


こいつオレの事踏み潰すつもりだったのか。


角兎がこちらを見て片足を地面にダンッ!と叩き付けた。それだけでヒビが入る地面。


これ蹴られたら骨折れますね。


『ビィーーーー!!』


角兎が姿勢を低くした。


そして思い切りこちらに跳んできた。

身体能力を上げて高く跳ぶ、足元に風が巻き起こって角兎の巨体が素通りすると、そのまま角兎は壁にと激突した。


自爆したか?


そう思ったが、角兎は突き刺さった角を忌々しそうに振り回し、闘技場の壁を破壊した。


うっわー!怖いわー!


あれも刺さったら終了ですね。

わかります。


フルフルと頭を振る角兎。

通常の大きさならば可愛らしいであろうそのしぐさで、角に突き刺さったままだった壁の 破片が吹っ飛ばされていた。


『ブッブッ!』


角兎がまたしても片足ダンッ!


さて、そろそろ攻撃に移らないとな。


角兎の驚異はあの巨体のタックルと蹴りと角だ。噛み付きとかもあるけれども、基本の攻撃はその三つに絞られる。と、するならば、その三つを封じれば攻撃のチャンスがあると言うことだ。


「せっかくだし、練習がてら使ってみるか」


深く息を吸い、長く息を吐き出す。


じわじわと体の表面に魔力が集まってきた。

それを体内のエネルギーの塊、氣で巻き込んでいく。


こちらに向かってくる角兎を見据えながら、オレは角兎の顔目掛けて回し蹴りを叩き込んだ。

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