第147話 こちらが狩りの様子です

アウソが魔狼を四頭引き連れてやって来る。


やはり森の中で生きる獣は早い。一番アウソに近くて襲い掛かりそうな魔狼を、先程よりも威力を高めた雷の矢で貫く。


『ギッ』


魔狼が転がる。残り後三頭。


アウソが近くの木に飛び上がり、幹を強く踏みつけて宙返りをし、すぐ近くに迫っていた魔狼の後頭部に一突き。着地して振り返り様に棒を横凪ぎに飛び掛かって来ていた魔狼を横に殴り飛ばす。


それを見て勝てそうもないと思ったのか逃げ出そうとした魔狼を雷の矢で上から射抜いて終了。


「うわ……首が……」


見事に折られてやがる。


木から降りてオレが仕留めたのとアウソが仕留めたのを回収していると、後頭部を突かれた魔狼の首が変な曲がり方をしていた。


持ってみたら首がプラプラ。


その鮮やかさに軽く引くオレの後ろで吹っ飛ばされて脳震盪を起こしていた魔狼にアウソが止めを指していた。勿論聞こえてきた音はゴキン、な。

えっぐい上に手慣れていやがる。


始めの二頭は軽く気絶しているだけだから、襲い掛かってこなかった魔狼と一緒に放置。


魔狼だけど獲り過ぎはいけない。普通の狼のように、こいつらは森の魔物(マヌムン)の数を調整してくれるのだ。


また一旦キリコの所に魔狼を持っていく。




「じゃあ次はコッチね」


見付けたのはブラックタイガーでした。


始めてみたよブラックタイガー。

聞くと黒妖虎(コクヨウコ)っていう魔物(マヌムン)で、華宝国、煌和(コーワ)国にしかいない種類らしい。

一般の虎よりも一回り大きく、好奇心が旺盛でたまに人を食べるらしい。


それを見てカリアが一言。


「刺したら穴空くし勿体ないね」


何にとは聞かない。価値が下がるんですよね分かります。


黒妖虎の通り道を予想して、先回りしたカリアは何故か地面によっこいしょと横になった。


……何しているんですかね。


わざわざ目につく所に横になったカリアに、予想通り“何これ”みたいな感じで近付いていく黒妖虎。


匂いを嗅ぎ、グルグル言いながら前肢でつついている。めっちゃ慎重だ。


「ネコ、何いってるか分かる?」


『何これって言ってる』


「まんまか」


お前らヤッター静かにしろよ」


黒妖虎はカリアの顔側に移動する。


すると突然カリアが黒妖虎の頭を両手で掴み、体を回転させ黒妖虎を地面に叩き付けた。


「「『!!?』」」


そして素早く起き上がり黒妖虎の胸元に掌を添えると、その手の甲へ思い切り手底を打ち込んだ。黒妖虎は一瞬ビクッと跳ねて動かなくなった。


流れるような心臓震盪(シンゾウシントウ)怖いです。


「さーて、早いとこ近くの街に向かうよ」


こうして狩りを終え馬の元へ戻ったらキリコが全部の獲物の血抜きをしてくれていた。

ありがとうございます。


そんな感じで移動しつつ狩りを続け、首都の炳碗(ヘイワン)にだいぶ近付いた頃。


「そろそろライハに狩人ハンター試験受けさせんとね」


と、カリアが言い出した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る