第22話 メル友ゲット
一時解散ということで遠征の準備をするためにノノハラとコノン、そしてシンゴの姿が消え、最初から準備が出来ていたオレとユイが残る。
先程貰った剣をベルトに差して木剣とぶつからないように固定する。なんとなく左側がやたら重たく感じてしまい、仕方がないので木剣の方を右側のベルトに差すことにした。二刀流でもないのに二刀流の気分だ。
そんなオレを暇なのかユイがずっと観察していた。視線が気になる。
「なぁ、それって兵士達が遠征の時に着てる服だよな」
「そうですよ。訓練混じって参加してたら何故か一式プレゼントされました。似合ってませんか?」
「似合いすぎてなんも言えねーのが困るわ。これじゃ、もう、勇者の服なんかゴチャゴチャしてて着れないだろ」
そう言ってユイが自分の勇者装の装飾品を指差す。キンキンキラキラしやがって、マントも上質な素材なのかも知れない。見ただけで想像できる手触り感。多分触ったら止められなくなりそうだ。
「オレもそう思います。てか、それにしてはユイさんの服、皆と少し違いません?」
「ああ、弄った」
ドヤ顔で言うユイ。弄っていいのか、それ。
ベルトの調整も終え、やることが無く暇になったのでスマホを取り出すとユイが目の色を変えた。
「なにそれ、すげー!俺のところにあるのに似てるな!」
「スマホですよ。携帯電話って知ってます?」
「知ってる知ってる!名前は違うけど俺も持ってるぜ!ほらこれ」
胸ポケットからユイのスマホがこんにちわ。
見た目は軍事用ですかってくらいゴツい。対してこちらはケースでコーティングしているものの何だか頼りない。もしスマホグランプリみたいなのがあったら一撃でやられてしまうだろう。
「携帯情報端末、略してケータンって言うんだけどな。うちの国長いこと鎖国していたもんで周りの国と比べて意味の分からない進化を遂げたから、それに似たケータン見たの初めてだわ」
「ケータン言うんですか。ていうかそれ分かります、うちの国もケータイ…携帯電話略してケータイって言うんですけど、独特な発達をしたせいかどこの国とも違うケータイになっちゃって、ガラパゴスケータイなんて呼ばれちゃってるんですよ」
「へえ!違う世界なのに同じ現象が起きてるなんて凄いな!いやー、良い情報だ。なぁ、もし出来たらで良いんだが、手紙の固定番号交換しないか?」
「メアドですね!良いですよ!しましょうしましょう!赤外線あります?」
「あるある、どっち送る?」
「じゃあオレからで…」
お互い興奮状態で赤外線を送り、貰う。まさか出来るとは思わなかったので感激だ、アドレスがなんかバグってるが試しに送ってみて届いたので成功と言えよう。
異世界初のメル友である。
「ノノハラもコノンもイケタニもケータン持ってなかったからさ、諦めてたよ」
嬉しそうなユイ。
多分オレも同じような顔してるだろう。
その時、扉の向こうから再び足音が聞こえてきた。準備が出来たようだ。
先に入ってきたのはノノハラ。
ノノハラは何故かこちらを見て眉を潜めた。
「男同士でなにやってんの。キモい」
酷い。
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