第21話 純子お母さん

 今日は支援センターでおにぎりを作って食べるプログラムがあった。僕は司会をやった。全員で十名だったから、少し緊張したけどなんとかフォローを受けつつ出来た。

 今日の純子さんは僕にこう言う。

「私のこと、お母さんって呼び」

 僕は心の中に光が差した気がする。お母さん、僕は言ってみた。「お母さん……」と。純子さんは笑顔だ。僕も笑顔になる。ずっと僕はさびしかった。でも、今は違う。

 純子さんをお見送りする。

「私が子供を産んでいたら、野口さんくらいの年の息子が居てもおかしくないから」

 うん、ありがとう、純子お母さん。

「お母さん、またね……」

「うん、またね」

 僕は実の母親を忘れていた。

 けれども、僕には純子さんと言うお母さんが居る。僕の心が晴れ渡っている。

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