第51話 お父様

 当照さんは、甘根館の管理人の傍ら平日の日中は幼稚園の先生をやったりその送迎バスの運転手をやったりと忙しく働いているのだそうだ。


「すみは子供が大好きなんだ、病的に」


 右隣の球磨が言う。


「そうみたいですね」


 オレも同意するしかない。


「わたしの、わたしのクッキーちゃんが、お嫁に行っちゃううぅぅうぅううう、ううううう」


「別に引っ越さへんから、な?」


 ハンドルを握る手が怒りか悲しみかでブルブルと震えるのを九歳に慰められる様子を、バスの最後尾に三人で並び、子供用の小さな座席でハラハラしながら見つめる。


 それこそバスが単独で事故ったところで死ぬ訳のない面子だが、むしろこの状況で巻き添えを食う人がいないことを祈る意味でだ。


「つまり三角関係ってこと、ね」


 左隣の五十鈴が言った。


「なんの話?」


「正生とあの管理人さんがクッキーを奪い合う構図。どろどろとした下宿生活になるわ」


 なんか目を輝かせている。


「ならないから」


 どろどろが好きなの?


「心配ない。先生が子供を産めばすぐにそっちに気が向くだろう。な! 正生!」


 球磨も目を輝かせていた。


「……」


 逃げたい。


「一年後にヒーローになってるとすると、生まれてすぐに島の外に出てるかもしれないわ。急いで作らないと、ね。顔も見られないかも」


 視線を背けた先の五十鈴も目が輝いている。


「……」


 逃げられない。


 真剣に気が早いだろ。


 結婚する実感もなにもないところに、あまりにも現実的なプレッシャーの挟み撃ち。こんなにハラハラドキドキのドライブは人生で最初で最後にしてもらいたい。


 到着したのは学園町から三十分ほど走った先にあるなにもない海辺に不意に現れる豪華な中華風建築だった。中華料理屋に違いない。ただ、ちょっとした宮殿というか、店構えが大きくて実際のところ異様な感じがする。


 看板には「龍門飯店」と書かれていた。


「無難だな」


 球磨は納得した様子で立ち上がる。


「近場ですし、ね」


 五十鈴も立ち上がった。


「美味いの?」


 真顔の二人にオレは聞く。


「「それほどでもない」」


 声が揃った。


「とりあえず鶏系は止せ、正生」


 球磨が非オススメメニューを提示する。


「あと麺もダメだから、正生」


 五十鈴も逆推奨。


「フカヒレは絶対にアカンからな、兄さん」


 車両前方からクッキーまでわざわざ。


「点心頼んだらクッキーちゃんと離婚」


 当照さんまで容赦ない。


「残りはいいってこと?」


 なにを食えばいいのかわからないぞ。


「「「「食べられなくはない」」」」


 四人が声を揃えた。


 なんだかんだあってもそう不味くはならない中華で、かなり立派な店構えにも関わらず、そこまで言わしめるとはよほどの事態である。むしろなぜそんな店が営業を続けられるのかという話だった。飲食店自体が少ないからか?


「いらっしゃいませ」


 店の自動ドアをくぐるとスーツ姿の屈強な大男が出迎えてくれた。気配はそんなに大きくないが、見た目は岩倉先輩と互角だ。


「予約の当照です」


 当照さんが言う。


「これで六名様全員、よろしいですか?」


「はい」


「お連れの方がお先にご到着されています。ご案内致します。離れると迷いますのでお気をつけください」


 迷う?


 戸惑うオレだったが、他の四人は無言で店員らしき男についていく。ムーディな照明と、凝った調度品が並ぶ店内の通路は迷路のようになっていて、他の客はおろか、店員すら見当たらない。そしてどこに向かっていくのか、右へ左へ案内されるままに進んで行くと方向感覚も怪しくなる。


 しかも十分ぐらい歩かされた。


「こちらになります」


 そしてやっと部屋に通された。


「お先に失礼してます」


 ピンク髪がグラス片手に言う。


「なに飲んでるのー?」


 当照さんが駆け寄った。


「紹興酒です」


「ちょーだい」


 そう言うとグラスをひったくって一気飲み。


「すみさん、そんな飲み方は……」


「飲まなきゃやってらんないのー。なによ。ルビアちゃんまでわたしに隠れて結婚の約束なんかしてさー。会ったばっかりでしょ? いーの? 信頼できるのー?」


 まだ酔ってないだろうに絡み酒だ。


「……」


 オレは周囲を見回す。


 そこそこの広さの室内中央に中華料理の回る円卓、妙な気配もなにもない部屋自体はごく普通の個室という雰囲気だった。普通もなにもオヤジと暮らしていて、店の個室で外食したことなど一度もないが、そういうイメージだ。


「今日は長かったな」


 球磨が言う。


「たぶん正生の能力を警戒してのこと、ね」


 五十鈴が答える。


「そやな。うっかり破られんように念入りやった。兄さん? どう? 出口の見当つく?」


 オレを見てクッキーは言った。


「いや、わからんけど、なんだったの?」


 まず店が謎だ。


「この店は客の秘密をを保証してんねん。盗聴盗撮はもちろん、外部からのあらゆる能力をシャットアウトして、店内でのことは漏れへん」


「迷路で?」


「あの迷路はオーナーの能力だ」


 球磨が言う。


「建物内の空間を歪ませている。ここ以外でも龍門と名の付く店では採用されていて、どこでも客の秘密は保証されている。ホテルとかな」


 じっとこっちを見ている。


「……」


 だからもう勘弁してください。


「ホテルとか、ね」


 目をそらしたら五十鈴と目が合った。


「……」


 もう助けて。


「ホテルですか。火照りますね」


「許しませんよー。わたしは、クッキーちゃんと火照ったり火照らなかったり、そんなの羨ましいからー」


 ピンク髪が当照さんと向かい合って酔ってる。


「……」


 そのダジャレは嫌いじゃないけど。


「まずその話なんやけど」


「クッキー」


 お前もか?


「結婚するんやから、夫婦生活はあって当然やし、それぞれの関係でやったらええとは思うけど、兄さんの一番大事なことはおとうはんの死刑回避や。それにはヒーローになることが最優先になる。そこをわきまえてくれんと困る」


 だが、九歳の天才は大人だった。


「クッキーっ!」


 オレは感動の余り 彼女を抱きしめる。


 やはりチームメイト、ちゃんと考えてくれていた。選択は間違いじゃなかった。ありがとう。結婚までしてくれてありがとう。愛する。だれよりも愛するよ。


「テヤン手!」


 ゴチン、と機械腕がオレの頭を叩く。


「それをわきまえ言うてんの!」


「つい」


 優しい気遣いに興奮してしまった。


 振り返ると妻たちの視線が冷たく、当照さんに至っては握りしめたグラスが怒りの余り割れている。冗談じゃなく三角関係ですか。


「つまり、チームが優先ということだな」


「それは仕方ないでしょう、ね」


「こちらも基本的にはそうなりますから」


 オレとは視線を合わさずに口々に言う。


「ルールとしては妻が全員揃ったときは戦闘禁止ぐらいでええとウチは思う。夫婦とは言え、みんながヒーローになろうと戦うことを止める必要もない。夫やから、妻やから、で負ける程度の強さなら地球なんか守れへん」


「……」


 オレは頷く。


 実に天才らしい状況を逆手に取ったルール設定だ。結婚するということを肯定しても、生活は変えず、むしろランキングを競うライバルとしての緊張感を出している。これなら一夫多妻の異常な状況でも落ち着いた生活が送れる。


「なるほど」


 ピンク髪がポンと手を打った。


「6Pですか!」


「チーズかっ!?」


 オレは思わずツッコむ。


 風呂場でもそうだったが、頭のネジが二、三本確実に吹っ飛んでるっだろこの人。そりゃ夫婦生活の最中に襲撃されたら男は死ぬけど。


「その方が確実か?」


「抜け駆けできない」


 球磨と五十鈴はなんか真剣に考えてる。


「クッキーちゃん、そんなのダメぇえええ」


「すみ、お酒弱いんやから」


 その日の初顔合わせはそれからもまったくまともな形にならなかった。食べられなくないメニューを注文してもなんだかみんなでガッカリするばかりなのでクッキー以外が酒を飲んで騒ぐことになる。妻たちはもれなく酒に弱かった。


 すぐに皆、寝てしまう。


「兄さんは飲めるんや」


 クッキーは例の茎レタスを摘んでいた。


「んー、ちゃんと飲むのははじめてなんだが」


 円卓に突っ伏す妻たちを見つめながらオレはビールを呷る。訳の分からない内に所帯持ち確定である。飲まなきゃやってられないという気分はこういうことなのだろう。


「たぶん能力のせいで酔えない?」


 しかし、飲んでも気分が変わらない。


「そら残念や、酔わせて介抱できん」


 含み笑いでクッキーはからかう。


「酒は弱点じゃなくて良かったよ」


 苦笑しながら、そう言うしかない。


 女だけで十分だ。


 しみじみと大人の味、酒のイメージは固まった。三種の心器でたぶんアルコール成分もすぐさま分解してしまうのだろうけど、酔った気分ぐらいにはなりたいと思う。


 それからしばらくオレはクッキーにテスト勉強を教わっていたのだが、酔って寝た女たちは目を覚まさないまま午後九時を回った。


「ふぁぁ、そろそろウチも普通に眠いわ」


 欠伸をしてクッキーが言う。


 子供だからな。


「起こして帰るか。いや、流石に酒気帯び運転はマズいか? とりあえず会計済ませたら四次元通路で甘根館に運ぶとか?」


「それはアカン」


 オレの提案にクッキーが首を振る。


「なんで?」


「生き物はアカン。十回に一回ぐらいは通ってる間に十年以上経過することがあんねん。色々試してんねやけど、なかなか安定せえへん」


「危ねぇな」


 そんな代物とは知らなかった。


 女性が寝てる間に十年加齢してたら離婚どころか殺害ものである。しかし、食い物とかは大丈夫なのだろうか。見た目でわかると言えばそうだろうが、賞味期限では確認できないよな。


「心配いりません」


 むくりと起きあがったのはピンク髪だった。


「私のコピーした能力で皆さんを拠点のベッドへお返しします。異民排撃エイリアン・ゴー・ホーム


 そう言って当照さんに触れると、パッと姿が消える。そのまま円卓をぐるりと回って五十鈴も球磨も消して、寝ぼけ眼でこちらを見て笑う。


「だ、大丈夫なのか?」


 なんか物騒な能力名言ってたが。


「ただベッドへ移動するだけです。ダメージもなにも生じません。あ、全先さん。あの、結婚についてお父様が男同士で話をしたいそうなので、明日の午前六時に、月暈島総合生活支援センターのエントランスロビーまでお願いします。では、私も失礼します。今日は楽しかったです」


 早口で言うと、最後に自分に触れて消えた。


「驚いたわ」


 クッキーが言う。


「あないな能力をコピーしてたやなんて。伝説の能力やん。どっから持ってきたん? 握手したことあるん? うわあ、気になるわ!」


 眠そうだった顔がすっかり目覚めている。


「……」


 だがオレはそれどころでもなかった。


 確かに店の会計が済んでいないとは言え、オレたちを残して自分も帰ることはないだろうとか以前に、お父様に会えってさらりと言われた。結婚するからには義父である。


 娘さんをくださいイベント!


「兄さん! ルビアはやっぱ警戒せなアカン! あれは超銀河連合との戦争初期に地球に降り立った宇宙人を母船へ次々と送り返した、どないしたん? 顔色が真っ青やけど。酒? 吐くん?」


「いや、確かにベッドに移動させるのは、敵の数が圧倒的に上回っても強い能力だな、うん」


 オレは頷きながら答える。


 別な意味で吐きそうなのは隠すしかない。流石にこの件ではクッキーを頼るわけにはいかないからだ。男同士の話。娘をもらおうって段階で、他の妻に相談するとか論外だ。


 オレにも男のプライドはある。


「そ、そうやけど、ホンマに大丈夫なん?」


 かなり顔色が悪く見えるらしい。


「大丈夫大丈夫。オレたちも帰ろう。あ、バスはどうする? 明日の朝ないと困るよな?」


 動揺を気取られぬよう話を戻す。


「そやけど、兄さん日本で運転経験ないやろ? この島で運転免許は必要ないけど、ウチは足がアクセルブレーキに届かんから」


「! 背負ってけばいい。そうしよう」


 オレは思いつきを口にした。


「背負うて。そらできるやろうけど体調……」


「問題ない問題ない」


 なにかしていないと不安が増大しそうなので力仕事は丁度いいぐらいだ。ぶっちゃけこれまでのどんな戦いより怖い。義父、お義父さん、どんな人だ。早朝に会うってどういう意味だ。


 わからない。


「どぉおおりゃっ!」


 バスの重さはそれほど感じなかった。


「なんや兄さん、ヤケクソになってない?」


 クッキーが首を傾げている。


「と、トレーニングトレーニング」


 バスを背負って帰る夜道、物理的重圧をはねのけるこの肉体に反して、精神的重圧がオレを静かに押し潰していった。甘根館に戻って、昨日から寝ていないので流石に眠ったが、目覚めた気分は最悪である。


「おはようさん」


「おはよう」


 朝四時に起きて風呂に入り、身だしなみを整えたオレは、クッキーを電話で起こした。本当は一人で行きたかったが、別行動するのは一位の立場として危険なので連れて行くしかない。


 朝に呼び出すからには長時間ではないはず。


「ああ、昨日の兄さんの顔色が悪かったんはこれか。そやな。うん。しゃーない。こればっかりはウチにも助けられん。行こか?」


 頭のお団子の角度が斜めになっているクッキーがふわりとオレの肩に捕まる。事情を説明しなくても理解が早くて助かる限りだ。


「朝飯はどうする?」


「センターにパン屋あるから」


「わかった」


 オレの方は緊張で食欲どころではなかった。


 第一声をなににするか、そんなことをグルグルと考えながら五時四十分に到着、早朝にも関わらず施設に人が大勢いた。病院もあるから、それなりに働く人がいるのはわかるんだが。


「理事会を島で開くらしいわ」


 クッキーが肩から手を離して、横に立つ。


「理事会、って機関の?」


 巫女田カクリを思い出す。


「そや。兄さんが結界を壊したんで、かなり急に決まったみたいや。来月な。たぶんその関係で島の出入りが激しくなってるんやろ。待機中のヒーローも呼び戻されとるらしい」


 クッキーは頷いて言う。


「それ、どこで聞いたの?」


 オレは島のニュースソースを知らないが、新聞とかテレビとかあるんだろうか。ヒロポンのネット機能もロクに使ってないからか。


「研究室でな、教授が理事もやっとるから」


 クッキーはつまらなそうに言う。


「偉い人に教わってるんだな」


「別に教わることなんかなんもあらへん」


 オレの言葉に不満げに答える。


 そういう子供っぽいリアクションは珍しい。


「嫌いなのか?」


 思わずつっこんで質問してしまう。


「興味ないだけや」


 クッキーはなにも言いたくないようだった。


「ほなな、兄さんはとりあえず目の前のことを頑張り、先のことを考えてる余裕はないやろ? 精々嫌われんようにゴマ擦っとくことや」


「……」


 確かにその通りだが。


 それにしても露骨な話題逸らしである。


 クッキーの弱点なのかもしれない。色々と世話になりっぱなしで頭の上がらない天才ではあるが、夫婦になるに当たっては相手のこともよく知っておくべきだろう。


 後で見に行くか。


 午前六時丁度。


 ピンポンパンポーン。


「全先正生様、五階議長室までお越しください」


 エントランスに放送が流れる。


「ええ?」


 島に来た日もそんな呼び出しを受けた、とかそんなことを思い出したが、オレは状況に少し混乱する。いや、ピンク髪は確かに議長の秘書だと言っていた記憶はある。しかし今日オレを呼び出したのはお父様じゃないのか。


 お父様=議長?


「……」


 そうではないとは言ってない。


 確かピンク髪は十九歳とかで、議員の秘書みたいなものをやるには若い。考えてみれば身内だから手伝っているという可能性は高かった。


「でも確か、おうぼいんって名前じゃ?」


 オレは議長の名前を調べていた。


 初日に議会に目をつけられると暮らしにくくなる、とまで言われたので一応ヒロポンから島議会の名簿は見ていたのだ。面倒は御免である。


 五階までのエレベーター、出てすぐ左。


 ヤタラさんの説明を思い出して見上げた議長室の両開きの扉、迷っていても仕方がないのでノックする。緊張の度合いは高まるばかりだ。


「入りたまえ」


 重々しい声が響いてきた。


「失礼します」


 オレは頭を下げながら入室する。


「こ、この度は、ご挨拶が遅れまして」


「堅苦しい挨拶は抜きで行こう。正生君」


「は、はい」


 バリトンボイスに頭を上げると、机に向かって毛筆を走らせる着物姿の恰幅の良い男が座っていた。かなり広い部屋だが、積み上げられた書類やなんやらで埋もれていて、応接セットも使えなそうである。明らかに忙しそうだ。


「ルビアの父の関轟三郎せきごうざぶろうだ。君と同じく一夫多妻故に娘は妻の苗字を名乗っているが、夫婦関係に問題はない。ヒーローとしての才能ある君が娘を貰ってくれることを嬉しく思っている」


 色々な疑問をさっぱりと説明してくれた。


「あ、ありがとうございます」


 もう義理の息子として許されてるの?


 娘さんをくださいって言えなかったのはなんとなく肩すかしだが、言って怒鳴られるよりは良かったと思うべきだろうか。


「仕事をしながらの応対で申し訳ない。アナクロな直筆書簡だが、宇宙では割合にこういう古めかしい文化が喜ばれるのだ」


 義父はひたすらに筆を走らせている。


「いいえ、忙しい中、今日はどうしてボクを」


 思わずボクとかオレは口走る。


「実の娘にこういうことを言うのも父親として良くないのだが、あれは少しおかしな女だ。君には苦労をさせることになるだろう」


「……」


 同意も出来ずオレは口ごもる。


「それでも、あの能力には代え難い」


 義父はそこでオレを見つめた。


「わかるだろう?」


 年齢はいくつぐらいだろうか、五十は越えているかもしれない。オヤジよりもかなり年上に見えた。声のイメージ通りの強面で、顔の半分には火傷のような大きな傷跡がある。そのせいでか右目が白く潰れていた。


「そう思います」


 オレは頷く。


 宇宙人だったのでコピーされなかったが、それでも握手だけで能力を模倣するのは便利だとわかる。昨晩のベッド送りもそうだ。


「ふむ。流石に肝は据わっているな」


 義父はオレをじっくりと見た。


「では、本題に移ろう。君には当照すみを落として貰いたい。できるだけ早く」


「は? 今、なんと?」


 聞こえていたが、耳が理解を拒んだ。


「君が当照すみと関係を持ち、妻に迎えろ」


 義父は真顔で言った。


 とでも冗談を言う空気ではなかった。

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