第3話 まあありがとう
「愛してる」
「まあありがとう」
愛のない愛の言葉
どうして?
好きだ、愛してると言いにくる人がいる。私はあなたと話したことがないのに、あなたも私の何を知ってるというの?
「うちはねー背が高くて」
「あんたそればっかね」
「あとお金持ってる人がいい!」
「まあねー」
友だちの話
どうして?
恋とは、愛とは。
もっとドラマチックで情熱的で、もっともっといいものなんではないの?
どうして?
私はその意味を知ることになる
それはつまり大人になるということ
どうして?
どうしても
なんで?
なんでも
大人の世界に踏み出す頃、失恋やダメンズに引っかかっては涙をして友だちと愚痴りあった
夢のようなマンガやドラマの世界を、現実に重ねていてはいけない
そのうちマンガやドラマの方が、夢のない現実に重なっていく
より現実的に、その中で本当に起こりそうな話が増えていく
やっぱり私もそんな小さな幸せや奇跡の訪れを密かに願って
どうして?
だって人生何が起こるかわかんないもの
どうして?
恋をするの?
だって1人じゃ寂しいんだもの
どうして?
恋をしないの?
だって恋は落ちるものなんだもの
「やっぱりあんたは夢見がちだよ」
「そうかな、まあそうかもね」
「話してるとね乙女チックでこっちがバカバカしくなる。あんたがこう、ぽわーっとしてて」
「まあ、ありがとう」
「それそれ」
「これはね、対愛のない愛の言葉用の返事」
「なにそれ、怖い。あんたほんとはそんなに乙女じゃないな?」
「まあ、失礼な!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます