日常
@higanbana
第1話 あの日
私の日常は一瞬にして崩れ去っていった。
「ガンですね。それもかなり進行しています。半年もったらいい方だと思います。」
蝉の声が頭の奥深くまで響いてくる。暑さで頭がクラクラして今にも倒れてしまいそうな、そんな日のことだった。
私の人生はごく一般的な人生だったと思う。ある程度の大学を卒業し、サラリーマンとして日々を費やしていた。幸せでも、不幸でもない。ただ平凡な人生だった。
私は余命宣告というものを受けてしまったらしい。しかし私には不安や恐怖などといった感情は微塵も出てこなかった。それどころか、少し安心感が湧いて出てしまったのである。これには私自身理由がわからなかった。
数分もすれば我に戻っていた。残っている時間どのように過ごすか考えていた。誰しもが一度は考えてみたことのある、「明日もし死ぬなら何したい?」という問題を私は今真剣に考えている。やり残したこと、やりたいことを一生懸命考えたが、出てきたのはたった1つの、やり残したことであり、死ぬ前にやりたいことであった。
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