正義が必ず勝つなんてずるい

弱者の意地

プロローグ 〜「正義」の定義〜

プロローグ1

「ふわぁ〜。外で昼寝とかこれ以上に最高なことねぇだろ。」


大きなあくびをしながら学校の屋上のベンチで寝転がるこの少年は


『佐藤大輔』


高校2年生である。

テストの点数は平均点ちょうど、スポーツや芸術なども可もなく不可もなくできる。彼は普通すぎた。なによりそのありふれた名前が彼の異常すぎる普通さを語っていた。

その捻くれた性格以外は…。


「あー。なんでわざわざめんどくさい授業なんか受けるかねぇ。どうせ上手くなんてならないのに。」


外で自分のクラスが体育のサッカーの授業をしている。

大輔は適当に理由をつくって授業をサボって屋上に来ていた。

どこまでも続く雲一つない青空にどこからか心地のいい風が吹く。

大輔にとって絶好の昼寝日和だった。


(とりあえずこの授業終わったら戻りますかー。)


そしてゆっくりと体を倒し眠りにつく。



「ん?もうこんな時間か…。」


チャイムの音で起きた大輔は急いで教室へと走っていく。

教室はどうやらさっきの授業の話で盛り上がっているようだ。


『ガラガラ』


大輔が教室に入るとクラス中がしんと静まった。同時にクラスメイトの氷のような冷たい視線が大輔に突き刺すように向けられた。


(ちっ…なんだよ…。)


そう佐藤大輔は孤立していた。悪く言えばいじめ、しかしその言葉は彼には合わない。

理由はなんとなく大輔にもわかっている。

それは異常なまでに「正義」を嫌うことである。

それは実生活に出ていて、様々な悪行を学校外でもしていた。

万引きや暴力事件、他にも数えきれないほど大輔は問題を起こしていた。

どれも学校側が警察沙汰にならないよう対応したのだが…。

大輔は誰とも目を合わせないように自分の席に着き、そそくさと次の授業の準備にとりかかった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る