トロピカルプール
南国に生きたい
彼女が言った
夏の終わりごろ
校庭に咲いている下向きの向日葵を
ハサミで切り取った
夜学校に忍び込んで
プールに向日葵と浮輪をばら撒いた
それから
制服を着たまま浮き輪に体を預けて
月を見ていた
遠くで花火の音がした
南国ではなかった世界
安っぽい壊れかけのリゾートプールみたいな世界で
生きている
僕はプールに飛び込んで
彼女が目が覚めたみたいな顔をして僕を見ている
僕達はセミのように
短い存在だと思っていた
南国に行けば幸せ?
彼女は笑って聞くから
南国にも冬は等しく来るよ
冬が来ない場所に行こう
まだ花火の音はやまないのだろうか
寂しいから
ずっと空で叫んでいてほしい
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます