美術館

翠幽月

朝が来る夢を見た

暁色に空が染まっていて

夕焼けと間違うくらいだった

なんだ朝が来たのかとか思っていたら

足元に川があって

私の足にやがて鱗が生えた

驚きはしなかった

今まで鱗がなかった

それだけだ

そうして私は魚になった

滝があってそれを上ったら

龍になれるようだから

登った

龍にはなれず

鳥になった

鳥になっても驚かなかった

羽を休めるために寝ていたら

いつの間にか石になっていた

勿論石になっても驚かなかった

そのあと日の光に照らされて

花になった

どんな花なのか分からなかった

でも驚いたりはしなかった

何度かいろんな生き物になって

最後には星になった

また太陽を見ながら朝が来たのかなと思って

目が覚めた

朝が来た

今度は現実だった

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