-5-「排水口の奥」
⑤
ナツキたちは行く先々で出会う犬や猫の動物たちにゲーム機越しで話しかけて、トッティの行方を尋ね回った。
『ああ、その犬なら知っているけど、最近は見かけてないよ』
『知らないね』
『ん? ああ、シバのところのヤツか。すまんね、ウチのボスから敵対関係あるヤツらと口にするなと言われているからな‥‥。だけど、最近は見てないぜ』
ゲーム機は
ナツキは
「ナツキちゃん、何か楽しそう」
「まぁ、あんなもんでしょう。異人(?)とのコミュニケーションを取れる楽しさは」
「
「イメージと?」
「ほら魔法って言うと、空を飛んだり、ネズミを馬にカボチャを馬車に変えたりするもんじゃない。それに今回みたいでも、ああやってゲーム機じゃなくて、直接動物が話せるようにするとかあるじゃない?」
「ああ、よく絵本とかでそういった魔法があるわね。もちろん、そういったものも使えるけど‥‥。いいヒカル。前にも説明したけど、万物の事象を理解することが出来れば魔法は誰にだって使えるようになる。その一例が機械よ。それに現にあったりするんでしょう、ああいう翻訳機が」
「おもちゃだけどね」
犬の鳴き声を翻訳する玩具の存在はヒカルも把握していた。
「それでイイのよ。存在していることが何よりも重要なことよ」
魔女とヒカルを
『そいつなら
犬は反対方向の道路のガードレールの奥で流れている川に視線を向けた。
川というのは市内の中央を分断するように流れている“境川”。
ヒカルたちにとっても
河川敷の道幅は広く、草が生い茂っている。
ヒカルたちはその境川の橋の端にある
現時点で唯一の
「ここにトッティが?」
「うん。こっちに行ったのを見たんだって。もしかしたら草っ原とかに隠れているかも知れないからヒカルたちはそっちを探して!」
「う、うん。わかった。
ヒカルが
「(いつも笑っているのに‥‥)どうしたの?」
「ちょっと変な
「違和感?」
再び辺りを見渡して見るが特に変な感じはしなかった。
「そうかな?」
「なんて言うのかな。おねしょをしたヒカルが、
「なに、その例えは‥‥」
魔女の変な言い草に
「二人とも、なにしているのよ。早くトッティを探そうよ!」
「うん。あれ、魔女さん‥‥」
「魔女さん、なにやっているんですか?」
「もしかしたら、この中にワンちゃんが入ったかも知れないわよ」
奥は真っ暗で何も見えなかったが、何かの気配を感じ取ったのか
「え? ちょっと魔女さん」
後を追うようにヒカルたちも排水口に入ろうとするが、
「あ、あれ?」
入り口で
「どうしたの?」
「いや、なんでか。足が止まって‥‥動かせないというか」
「ここに近づいちゃダメな感じがして‥‥」
ヒカルとナツキはまるで地面に足首を
「なるほど、結界が張られているのね」
二人の様子を見て、ヒカルのような“普通”の人間が入れない仕掛けが仕組まれているのを
魔女が軽く
「「うわわわわっっっ!」」
突然だった為にバランスを
「痛たた‥‥」
「なにやっているのよ。ほら、さっさと行くわよ」
「ちょっと待ってよ、
お構いなしにと
ヒカルとナツキは立ち上がり、お互いの顔を見合わせると「後を追いかけるしかない」と心で
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます