ぬばたまの夢を追ひかけ東京に来しその人のその後知らずも

【読み】

 ぬばたまのゆめをおひかけとうきやうにきしそのひとのそのごしらずも


【語釈】

 ぬばたまの――①「黒」にかかる。 ②「黒」に関係深いものとして、「夜」「夕」「こよひ」「昨夜きそ」「髪」にかかる。③「夜」「(黒)髪」に関係深いものとして、「夢」「月」「妹」にかかる。[参考:大辞林 第三版)


【大意】

 夢を追いかけて東京に行ったその人のその後を知らないことである。


【附記】

 夢とは何であろう。起きているときに夢を見るのは人間くらいかと思うが、ずいぶんひとを惑わせる曲者と見える。


【例歌】

 いにしへにいもと吾が見しぬばたまの黒牛潟を見ればさぶしも 作者不詳

 相ひ思はず君はあるらしぬばたまのいめにも見えずうけひてれど 作者不詳

 ぬばたまの妹が干すべくあらなくに我が衣手を濡れていかにせむ 作者不詳

 ぬばたまの夜は更けぬらしたまくしげ二上山に月傾きぬ 土師道良はじのみちよし

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