世のなかは楽しんだ者勝ちならし賢しらをして遊ばずは悪し
【読み】
よのなかはたのしんだものがちならしさかしらをしてあそばずはあし
【大意】
世のなかは楽しんだ者勝ちであるらしい。そうであれば、小利口にふるまって遊ばないことは思うに悪いことである。
【附記】
ご存知のように人間をして「ホモ・ルーデンス(=遊ぶ人)」と言ったひとがある。「遊び」にはいろいろな意味があるが概ね心の余裕をいう語と見なしている。遊びと称してつきあいや奉仕を強いるひとでなしは御免被りたいものである。
「悪し(あし)」を倫理的・道義的価値判断を示すものと限定的にとらえる必然性はあるまい。ここでは「人間の幸福のために」くらいに解釈するのが適当かと思う。
古来日本人は賢しらや分別を嫌ったものと心得る。こうした思想は中国でも希薄だったのではないか。名だたる歌人に女性が多いのも、筆者が漢詩よりも和歌や俳句に親しみを覚え或いは「理に落ちる」ことを自戒するのもそうしたことが関係しているかもしれない。
【例歌】
大君の遣はさなくにさかしらに行きし荒雄ら沖に袖振る 山上憶良
あなみにく賢しらをすと酒飲まぬ人をよく見ば猿にかも似る 大伴旅人
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