むらぎもの心のいろにそめあげて桜の涙い継ぎ散りゆく

 むらぎものこゝろのいろにそめあげてさくらなみだりゆく


【語釈】

「むらぎもの」は、「心」にかかる枕詞。

「い継ぎ」は、次々に。は調子を整える接頭辞。


【大意】

 その心の色に染め上げて桜の涙が次々に散ってゆくのだなあ。


【補説】

 題して、「心桜涙の三語を入れて詠む」。この3語はいまのところ私がもっとも好きな3文字の和語の名詞である。


「紅涙」は今日ではふつう若い女性あるいは美しい女性のながす悲しみの涙をいうようだが、古くは血の涙をいったという。ソメイヨシノの花をそれに見立てた。

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