情にやほださるることあるまじと心は常の旅路にあるを

 なさけにやほださるることあるまじとこころつね旅路たびぢにあるを


「情に」の「」は詠嘆したり語調を整える語。


 じょうにほだされるようなことがあってはならないのだと、この心はいつまでも終わることのない旅の途中にあるものを、というような意味。


 情に流されるのはみっともないことだという積年の思いをシンプルに述べた。言い切らずに終わったのは、そうはいっても実際には必ずしもうまくいかないうらみがあるため。


 「去るものは追わず、来るものは拒まず」であるとか「君子の交わりは淡きこと水の如し、小人の交わりは甘きこれいの如し(立派な人物の交友は水のように恬淡てんたんとして飽きることがない、小人物の交友は甘酒のように甘くて飽きやすい)」であるとかの境地がわたしには合っている。

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