第8話

2話から先の別バージョン”forest story”

一話後蜜に名付けをした後こんな展開も良いかなのもう一つの物語です。


f-s2


名前を貰った私は次に深紅の首輪を貰った。

真っ黒な私に良く似合う。

首輪にはこの山小屋に掛けてある”魔除け”に弾かれ無い”通行証”として中国の古銭が付けられている。

古銭の四角い穴に黒蜜おばばの髪を通し首輪の金具に結んである。


年を経た使い魔は、人間の言葉を喋る事が出来るが私が喋れる様になるには、これからまだ数年掛かるだろう。

首輪にはそれを補う為に黒蜜おばばに私の言葉を伝える”おまじない”が付与されてる。

まあ私からは、ちょっとした言葉を飛ばす位しか出来ない、例えば”お使い終わり”・”一大事”・”お腹空いた”等だ。


そして私のパートナーになる買い物籠を紹介される。

何代か前の使い魔の時から居る古株だそう。


この買い物籠は意思を持つ魔道具で持ち手を咥えた私に意思を伝える事が出来、私の飛ばす言葉を受ける能力が備わっている。


初めて行く場所への道案内やお使い先での出来事を買い物籠に耳を当てた黒蜜おばばに報告出来、大きさを大中小と変化させたり保温・保冷のおまじないも付与されてる。


仔犬の私に合わせ小さくなった買い物籠を私に咥えさせ部屋の中を何周か回らせて大丈夫だと確認した後。

「蜜や、さっそく初めてのお使いに行って貰うよ」


私は、いきなり大丈夫かな?と首を傾げたけれども。

黒蜜おばばは笑いながら。

「買い物籠に道案内して貰えば大丈夫さ咥えた持ち手から蜜に行く場所のイメージが送られて来るからその場所を思って暗闇へ入ってご覧。それに行った先は蜜に嬉しい物が待っているよ」


買い物籠にガマ口財布と買い物メモを入れて貰う。籠に入れられたメモを読んだ買い物籠が場所を特定し籠の持ち手から私に場所のイメージが伝えられる。


私はその場所を思い描きながら食器棚の隙間に飛び込んだ。


そのお店正面にある自動販売機裏の暗闇からスッと現れた私は買い物籠に促されながら店内へ入る。


可愛い制服を着た若い女性店員さんが小さな私を見て膝を折り目線を合わせてから。

「小さな使い魔さんご苦労様。籠を貸してね」

咥えていた籠を外し中にあるメモを見た店員さんが優しく微笑んだ後に私を自分の胸に抱き上げた。


店員さんは私の目を見ながら。

「蜜ちゃんの初めてのお使いは、量り売りお菓子の専門店で貴女の好きなお菓子を買い物籠に入るだけ選ばせてあげて下さい。ですって良かったわね優しいご主人で」


店員さんが私の身体を店内に向けクルリと向きを変えた。

私の目に色取り取り、見たことの無い多種多様なお菓子の山が現れる。


小さな私は下からではケースに何が入っているか判らなかったので夢の様な光景を見てビックリ。


”黒蜜おばば”と”お使い”が大好きになった瞬間だった。

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