第7話

ヒソヒソと魔王達に黒い伝言が伝えられる。

企みが伝わった魔王の顔が悪巧みをする地獄の者に変化して行く。

美味しい食べ物の誘惑って恐ろしい。


あるメジャーリーグファンの魔王は伝言を聞き

「甘味では無いが待っていればいつかヤンキースタジアムの出来立てホットドッグを食べる日が来る」アジアン雑貨に嵌りベトナム大好きな魔王は「

ホーチミンの旅行blogに出ていた屋台のバインミー(ベトナムサンドイッチ)を食べれる」等と食の妄想が膨らんでいる。

中々マニアックな選択・・・。


スクッと宋帝王(文殊菩薩)が立ち上がり閻魔大王に「只今、月に一度世界各地の美味を届けて頂ける

と伺い他の魔王と協議した結果、腕輪や宝珠だけでは感謝の気持ちを表切れないので蜜さんに”地獄の使者”の称号を贈るのが良いのでは?と成りましたが如何でしょうか」。


「誠に文殊の知恵者の言葉はもっともである。ここに居る十三魔王達。真っ黒な使い魔蜜ちゃんを”地獄の使者”にする事に同意するか?」


その言葉に魔王達は頷く。


閻魔大王様が隣にいる蜜の額に掌を置き「そなたを十三王の同意の元に地獄の使者に任ずる」。

その言葉と共に私の身体が白く輝いた。

それ意外の変化は特に無い。


口の中がムズムズする犬歯が少し伸びたかな?


宋帝王(文殊菩薩)が「これで蜜ちゃんは地獄のどこでも出入り自由そして地獄で我々魔王の次に偉くなったよ。ついでに中々”死ねない”身体になったからね」と悪そうな笑顔。


私は使者の意味がよく分かっていなくてチョコンとお辞儀をする。


後々になってアフリカや東南アジア、西洋の悪魔信仰のある地域に行き大歓迎を受け大変な思いをする事になり地獄の使者の意味を知った蜜だった。


それから地獄の宝物殿に有った一万年物の地獄人参や地獄マンドラゴラ、地獄大蝙蝠の目玉等普通では手に入らない薬材を買い物籠に入れて貰い。

閻魔大王様も魔鏡で欲しい美味を黒蜜おばばに伝えると買い物籠に話している。


地獄の使者になった私は地獄のどこの暗闇からでも出入り自由と言われ買い物籠を咥えお辞儀をした後、皆のいる法廷の被告人席内側の暗闇へタッタッタと走り出した。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る