第19話 叛乱軍、戦闘開始

54・詭道を往く者


『では、ユージェが中央山脈を越えこのザイールに向かっているという話は広まっていても、数や構成にまつわる話はいっさい聞かれない……ということですか?それも妙な話ですね。』


 ユージェ襲来の報告を受けた者は程度の差こそあれ衝撃を受けたが、フレッドはその報告に違和感しか感じなかった。もしユージェ軍が中央山脈を越えてザイールに向かうのを見届けたなら、どれくらいの規模であるとかどのような兵が多かったなどの点にも目が行くはずである。特にユージェと皇国は軍の構成も大きく異なるため、知らせをもたらせたのが皇国側の人間であったなら、それらを見逃すはずがないのだ。


「ではフレッドさんも、この知らせはユージェ側の流言によるものだとお考えですか。もしそうなら皇国の対応を見極め、今後の本戦に備える……といったところですわね。」


 そう答えたのはテア。フレッドと同じくユージェ出身だからこそ、地力の差でユージェの側から大規模侵攻を仕掛けて勝ち目があるとは考えられず、報せに信憑性はないとの結論に至っていた。


「なんだブラフかよ。もしかしたら州軍と潰し合って事態が好転するかとも考えたが、さすがにそんな甘くないか。」


 ブルートがそうボヤくのを聞きながらも、フレッドは思案を巡らせる。侵攻自体は確かに大嘘だろうが、皇国側の対応を確認するため密かに入り込んでくる一団は必ず存在するはずであり、そういった隠密行動が得意な一団にとって標的にされそうな人物がここに二人ばかりいる。ザイール辺境州の、それもごく限られた一部のみではあるが、ユージェの侵攻は十分にあり得る話であった。


『ところがこの村に関しては、襲撃を受ける可能性が大いにあります。ユージェには首を長くして、ある男たちの首を待っている人たちがいますから。』


 フレッドとその父ハゼルはユージェの現執行部に大層な恨みを買っており、いずれ刺客が現れるであろうことは想定の範囲内である。今回の流言が将来的に何をするためなのかを知る術はないが、こうしてわざわざ皇国領に足を踏み入れるからには、ついでに悲願を果たしてしまおうと考えてもおかしくはない。


「我らの集結が間に合えば、よもや数で負けることなどはないと思うが……分割案が裏目に出てしまったか。」


 ブルートやマレッド以上に大柄なその男は、叛乱軍に協力してくれることになった[夜明けの星傭兵団]団長のウォルツァー・コール。彼らは重装歩兵団だけに平時でも膨大な量の荷物を抱えて移動することとなるため、叛乱軍の結成を悟られぬようにと数人ずつが商人に偽装してヘルダ村へ入るようにとの要請を受けている。その結果、当初の予定では収穫期に入る頃には集まるとされていたものが、大幅に遅れてしまっていた。


『その件につきましてはこちらからお願いしたことでありますし、どうぞお気になさらず。それにここで大兵力を見せては領主に感づかれる可能性も高まりますから、かえって好都合というものでしょう。』


 フレッドは、襲撃があるとしてもそこまでの大兵力で押し寄せてくることはないと踏んでいた。そもそも皇国内に入り込むのはユージェ襲来の報を受けた皇国がどう対応するかを見定めるためで、戦端を開く気などこれっぽちも持ち合わせていない。もし本当にその気なら軍勢の動きを悟らせるはずはなく、目撃者も高確率で処分されているはずなのだ。ヘルダに攻め寄せるとすれば、それはあくまで帰り際に小遣い稼ぎをする程度のものであることは明白だった。しかしそのような状況下だからこそ、現れる軍勢は敵地で活動できるような手練れである可能性が高い。数よりもそこに留意しなければならなかった。


「では大将さんは、鍛えられた精鋭が向かってくるとお考えですか。それは確かに面倒なことになりそうですわね……」


 いい加減に大将さんはやめてくれないかな……と思うフレッドだったが、これでもまだマシだった。最初にこの[野鶲の傭兵団]の女性団長フェルミ・コーラルに出自を明かした時は、お若い英雄だの若大将だのと冷やかされたものだった。ブルートと旧知の仲というだけあり、彼女が一筋縄ではいかない人物ということは間違いない。


『しかし幸い、ヘルダの防衛力強化は済んでいます。隠密行動をしていた彼らが船を大量に用意出来るとは思えませんから、主に北か西から突破を図ることでしょう。そこで、我がほうは門で迎え撃つのを基本とします。』


 村の正門にあたり、日常生活の利便性も考え道幅が広く取られている北門には、ブルートらと[夜明けの星傭兵団]およそ200名の主戦部隊を配置。さらに志願兵の射撃隊150名を半数に分け、北と西の空堀にある土手に配置し、門への接近を図る敵を攻撃させる。ほぼすべてが集結している[野鶲の傭兵団]約350は、村の南と東の警戒および村内部に入られた際の対応や、押し切られそうな方面が出た際の後詰としての任を与える。それぞれの特性を踏まえた上での配置に二人の団長も異論を唱えることはなかったが、この配置には一つだけ穴があった。


「西門は狭く蛇行するような道に壁が建てられ、西の土手からは格好の的になり容易に近づけぬというのは分かるが……守備隊は配置しなくていいのか?」


 ヘルダ村の西側はやや低地になっており、フレッドは西門に正面から近づけないよう門を出たところで壁を築き、それを蛇行するような形の一本道とした。これは門を破壊するための破城杭などの接近を阻止するほか、門に向かう場合は必ず西の土手に背を向ける形となり、背後からの射撃に曝されるという殺意に満ちた配慮の上でのものである。フレッドに言わせれば「敵を騙し、欺き、陥れる方策を考えるのは人生の一部みたいなものですから」ということになるのだが、平時においてはその使いにくさから不評を買っており、いずれは蛇行する壁の上に橋を架けるなどの計画も立てられていた。


『西門に関しましては、現有戦力に於ける最大の存在を配置しますから御心配には及びません。では皆様、万事お手抜かりなきようそれぞれの役目をお果たし下さい。』


 こうしてヘルダ村の防衛隊は準備を進め、万全の体制を以ってユージェの先遣隊を迎え撃つこととなる。そしてL1025収穫期も20日を数えた頃、ついにユージェ軍らしき集団の存在がヘルダ村近郊にて確認された。ヘルダ村からこの知らせを受けたザイール州軍はその責務を放棄し、領内の民衆が襲われるのを見過ごすという道を選ぶ。もっとも、フレッドは最初から州軍を当てにはしておらず、むしろ動かないことを期待して知らせを送った。領主および州軍に統治者能力はない、ということを示すためにユージェをも利用したのである。



55・寄せては引く鋼壁


「一班二班は構え!照準は北門守備隊の前方、橋の対岸に設定。射線上に敵が入り次第、攻撃を開始せよ!」


 ヘルダ村を巡る攻防は北門に接近するユージェ軍に対し、ヘルダ村の北側空堀の上にある土手からの斉射で幕を開けた。携行できるものとしては最大級の大型クロスボウ計35基による攻撃は、即死者こそ数名にとどまったものの痛打を受けた者は多数に上った。予想を上回るほど遠距離からの、しかもそれなりにまとまっている攻撃にユージェ軍は怯んだ。


「一班二班は再装填開始!代わって三班四班は構え!照準は橋の対岸のやや奥に設定。距離修正、上1つ!負傷兵を抱えて下がる者を優先的に狙って攻撃せよ!」


 志願兵部隊の一角を指揮しているテアの命により放たれた遠距離攻撃は、それを予期していなかったユージェ兵の足を完全に止める。再装填に時間が必要なクロスボウの攻撃はここで一時停止することになるが、先制攻撃で士気を挫くという目的は達せられたのだ。


「フォンティカ、ブルート様たちに合図を。こちらの再装填完了まで、皆様には幾ばくかの時間稼ぎをしていただきますわ。」


 かしこまりました!と返事しながらフォンティカは布で巻かれた懐剣を引き抜く。閃光を放つその剣を、合図として使ったのである。それは眼下に見える北門を守備するブルートらと夜明けの星傭兵団にとっての突撃の合図となった。


「よし、俺たちも行くぞ!次の合図があるまでここは俺たちの独壇場だ。皆もせいぜい暴れてやれ!」


 戦場ということもあり、普段よりは重い半板金鎧を身に纏うブルートが指示を下し、先陣を切る。それに純戦闘用の板金鎧を着こんだダウラスと、傭兵団の各員が続く。鋼の壁が押し寄せる様は圧倒的な威圧感があり、先制射撃で損害が出ていることもありユージェの先鋒は潰走状態に陥る。敵はただの村人で軍組織もない……という情報しか得ていなかったユージェに対し、このことを想定し万全の準備を整えていたヘルダ側が、最初の会敵に関して言えば完勝であった。


「しかし、いくら何でもこりゃ脆すぎる。もしかしたらこっちは陽動かも知れんが、まぁ向こうはフレッドたちが観ているわけだからな。こっちよりひでぇ事になってそうだな……」


 敵の第一波を潰走させ、ブルートら鋼壁の集団は波が引くように持ち場である北門前に戻る。その最中、ブルートはこの戦いの趨勢について思いを馳せた。かつて会議でフレッドは「北に全力を傾ける指揮官であれば、我らは正攻法で勝てます。まず北に攻撃を掛け、主力がいると確認した後に別方面から攻める指揮官であれば自ら死地に足を踏み入れるでしょう。我らが苦戦するとしたら途方もない手段を用いてきた場合でしょうけど、それは実際にやられたことを鑑みて対処を考えます。」と話した。北以外の進入路、つまり西には死地が広がっているというのだろう。


(しかし「現有する最高戦力」とはな。俺もいつか、お手合わせ願いたいもんだ。)



56・戦地に立つ羅刹


 ブルートの予想通りユージェ第一波が最重要拠点の北門に攻撃をかけたのは、その対応を見るためのものであった。ユージェ先遣隊の指揮官、ペルゼ=クストは孤独眼ことプロキオ=クストの養子であり、義父に「何としても忌々しいクラッサスの首を持ち帰れ」と厳命されている。彼自身の個人的な見解は「義父上もすでにいいお歳だというに、いまだ若き日の思い出を捨てきれぬのか」という至極まっとうなものであったが、孤児である自身を引き取りここまで育て上げてくれた恩がある。何としてもその願いを叶えたいと考えていた。


「敵の本隊は北に集まっているが、大きく動く気がない重装兵と射撃隊がいるだけだ。どうせ出ないだろうから、射程に入らない程度の距離にいくらかの兵を並べ、攻める気配を匂わせつつ連中を釘付けにしろ。本隊は西から攻撃を掛け、それに目が向いているうちに水に強い者を募り、川の上流から密かに南方面へ侵入させるのだ。」


 プロキオはお世辞にも優秀とは言えない軍人だったが、それが反面教師となったかペルゼは優秀と言える軍人に育った。かつてはクロヴィスと並びユージェの未来を背負う逸材と呼ばれた時期もあったが、若き英雄クロトの登場でその地位は失われる。しかし彼は義父のように、他者を嫉んだりはしなかった。孤児だった自分がここまでの高みに至ったことに十分な幸せを感じており、何より苦労人であればこそクロトの努力も祭り上げられることの苦悩も分かっていたのだ。


「敵はあのクロト=ハイディンだ。あらゆる手を打っておいても過ぎることはないだろう。武人としては邪道かもしれんが、俺はどんな手を使っても義父上の願いを叶えねばならん……!」


 門から離れて敵を追ってもまず追い付けず、空いた門に別の部隊が来る可能性もある以上は単独行動を出来ないため北門は膠着状態となり、お互い動くに動けない状況となった。こうした状況の中で、ついに戦線は西門へと移される。



『一班二班は三番の曲がり角に照準を定めて下さい。敵が出てきたところを攻撃した後、入れ替わって三班四班は二番通路を進む敵の背後に攻撃を掛けます。今のところ敵はこちらを攻撃する術を持ち合わせておりませんから、焦らず、いつも通りにこなしてもらえば大丈夫ですよ!』


 西門前の蛇行した通路では曲がり角に進入した直後や、土手に背を向ける形になった状態などを狙われユージェ側は少なくない被害を出していた。しかしここに攻め寄せたのは先遣隊でも精鋭の部類であり、射撃による攻撃が2連続ほどで間が空くことをすぐに見抜き、間隙を縫って少しずつだが門に近づいている。このままではいずれ門に到達されるのは時間の問題だったが、フレッドは門に近づき有効射程外に出た敵は無視し範囲内の敵への攻撃継続を徹底させた。そして矢の雨をかいくぐってユージェの一部隊が門に取りついた時、閉ざされているであろうと思われた門が開いているという、予想外の光景が広がっていたのである。


「よくぞここまで参られたな、ユージェの諸君。そなた等の求める首はここに在る。ワシを討ち名を挙げんと欲する者は前に出よ。諸君らの生涯においてこの老いぼれが、最大最強の敵手となって見せようぞ!」


 そこには仁王立ちでユージェ兵を出迎える、ハゼルの姿があった。後ろには予備の手槍を両手に抱えたイーグとグラートが控え、巨大な盾だけを持ったカルヴァが脇に控える。この襲撃が自身の命を狙ってのことであると確信したハゼルはあえて前線に出てくることで、村への被害を抑えようと考えフレッドに参陣を頼み込んだのだ。断っても聞き入れてくれることはないだろうと諦めたフレッドは、ハゼルに西門の防衛を任せることにした。そして作戦会議にてブルートに必要な兵数を聞かれたハゼルは、武器と食料、酒などを大量に用意してもらえれば使用人として住まわせている3人だけで十分と答えたのだった。


「ユージェから遠路はるばるやってきたというに、大将首を眼前にいまさら怖気づいたのか?掛かってこんというなら、こちらから行かせてもらうとするかのぅ!」


 そういうや否や、ハゼルの手から手槍が放たれる。それは閃光と見紛う勢いで最前列のユージェ兵を貫き、避けなければ奥にいた兵も串刺しになるほどの勢いで放たれた。手に持てる物はおよそ何であれ投擲武器として自在に扱うことができ、かつては無弓の射手とも呼ばれた男の真骨頂である。そのことはユージェ兵も知るところだったが、彼らの多くにとってハゼルは頼もしい味方として自陣側にいた人物である。だが敵として向かい合い、命の危険に曝されてみるとその暴威は明確な恐怖となって伝播した。


「お前は本陣に向けすぐに合図を送れ!第一目標を発見し、交戦に入ったとな!それ以外の者は散開し一斉に掛かれ!」


 隊の指揮官は部下に命令を下し、自身も攻撃に参加する。離れていてはいい的にされるだけゆえ、とにかく接近戦に持ち込んで投擲を封じる……一見理に適ったように思えるその作戦は、実のところハゼルの仕掛けた罠であった。衝撃的な投擲の腕前を披露し、接近戦を挑むしかないと思わせ敵から近寄らせることで、自身にかかる負担を軽減することが目的だったのだ。



『父さんは常にあのような力を出せるわけではないんです。力を出すとすぐに疲れ、空腹にもなります。人の生を凝縮できるような感じ……と言えば伝わりやすいでしょうか。ですから離れた相手を狙えるように投擲の修練を積み、それに恐れをなした相手が自ら寄ってくるように仕向けた……言わば二段構えの戦法ですね。』


 作戦会議の後、本当に数人で大丈夫なのかと詰問されたフレッドは、ブルートらにそう答えた。大量に用意された食料品などは敵を誘うための囮ではなく、ハゼル自身が消費するためのものである……とも。ハゼルは戦場のど真ん中でも活動のエネルギーを得るために食事を取る。それが例え、自らが討ち果たした敵の遺体が散乱するような場所であっても、彼自身が動くためには食事が必要だったからだ。しかしその光景を目にしたものは、そうは受け取らない。


『おかげで父さんは「人喰い羅刹」なんて呼ばれ方もしたみたいですね。もっとも、殺し合いの最中に死体の側で食事ができる神経を疑いたくなる気持ちは分かりますが、そうしないと倒れてしまうので……』


 ハゼルはかつての恩人で、しかし運命のいたずらにより彼と敵対する道を歩んだテアには、フレッドの言葉がよく分かる。彼女はハゼルのことを「人喰い羅刹」と呼んだ側で、その威容は身に染みている。そんな人物が今は、味方となってくれたのだからこれ以上に心強いことはなかった。


「人員に余裕もありませんし、ここはお任せいたしましょう。それに出来もしないことを出来ると仰るほど、フレッドさんもハゼル様も楽観的ではありませんわ。」


 こうして西門はハゼルとその部下たちだけで守りにつくこととなる。ハゼルが手槍を投げ、イーグらが手槍と食料を手渡す。食事中や敵の矢などが降り注げば大楯だけを持ったカルヴァ前に出てそれを防ぎ、攻撃が止めば再びハゼルの投擲が猛威を振るう……その繰り返しで、ユージェ軍は瞬く間に死体の山を量産していくのだった。


「怯むな!間断なく攻撃を繰り返し、スキを見て接近戦に持ち込むのだ。それにもうすぐ支援が始まる。我らの勝利は近いぞ!」


 ユージェ西門攻撃隊の指揮官はすでに3人が討たれその都度入れ代わっていたが、今の指揮官は内戦時代にハゼルと対峙したことのある男だった。怪力のファロール・エストラに岩を抱えさせ盾とし、その後ろから接近するという策はそれなりに的を得たもので、ついにハゼルとユージェ軍の接近戦が開始される。


「皆はしばらく下がっておるがよい。近くにいては巻き込む恐れもあるでな。……さてクロヴィスや、今度はワシに力を貸しておくれ。共に一暴れしようぞ!」


 そうしてハゼルは、イーグとグラートが二人で運んできた龍ノ嘆キを軽々と振り回し、右半身に構える。槍の構え自体はフレッドと全く同じものだったが、ハゼルの体格と得物の大きさにより、その迫力は段違いのものとなっていた。


「此度も槍が嘆くことになりそうだな。またしても、数多の命を刈り取ってしまった……とな。さあ、覚悟が出来ている者から掛かって参れ!」

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