第17話 巨悪を討つ手段

47・ザイラスの繁栄の裏にあるもの


「ここの領主が[道]騒動に関わりあると、そう言ったか?その話……詳しく聞かせてもらおうか。」


 助けた男女二人の協会員はシェーファーとシェリーだと名乗り、命を救われたことや同胞の仇を討ってもらったことに礼を述べる。そしてブルートらに「領主の指示で来たのではないのか?」と尋ねたところから話が変わってきたのだ。


「この地の領主が、広大な館の中で決闘を見世物にしているのは知っておるだろう。そこで戦わせる異界の生物を集めるため、はぐれ術師に道を開かせ怪物を集めておるのだ。協会はそのような外道を捨て置けぬゆえこうして粛清に参ったが、此度はあのような想定外の化け物に遭遇し不覚を取ってしまった。情けなきことよ……」


 そう語るシェーファーの話に、ブルートは思い当たる節があった。さして栄えている地方でもない辺境州の都がなぜあそこまで大規模に発展しているのかというと、皇国貴族の旅行地として持て囃されているからだ。風光明媚な景勝地ではあれど、特に目立った観光資源があるわけでもないこの地に人気があるのは、皇国本領では行えない娯楽が多数あるからだと言われており、その最たるものが闘技場だというのは裏では有名な話だったのである。


「かつては反逆者や税の滞納者などを捕らえ、その者らを競わせていたのだと聞いております。しかしより過激な戦い、もしくは殺戮を求め異界の怪物を使うようになりました。そのためにこの地の領主は流れの未熟な術師を好待遇で各地から呼び寄せ、こうして身の丈に合わない怪物を呼ばせては、運よく使役できるものが出てくるのを待つという有様。使う側も使われる側も、まったく愚かなことです。」


 そう話すシェリーはブルート好みの美人だったが、シェーファーと将来を誓った仲と聞いてからというものブルートは手を出す素振りは見せていない。彼は確かに手は早かったが、伴侶持ちに手を出すことはしない主義だったのだ。そうなったいきさつは伴侶持ちに手を出して痛い目を見たからだとも、そういうしがらみを考えながら一時を愉しみたくないのだろうなど様々な予測が打ち立てられているが、真相を知るものは当人だけである。


『では、領主がその悪趣味な真似を繰り返す限りこのようなことが続くと?強制的に道が開かないようにする術などはないのでしょうか。』


 フレッドの質問に対する二人の返事は、かなり大掛かりな準備が必要で今は不可能というものだった。ただ、準備が整っても領主が作業の許可を出すはずもなく、結局は個別に潰すしかないとの結論に至り、こうして出向いてきたのだという。ブルートらにとっては、一刻も早く叛乱を成功させなければならない理由が増えた形となる。


「我らは事の次第を報告しに、これより本部へ戻ろうと思う。もし魔導のことで問題に直面したら、ぜひ中央山脈にお越しいただきたい。この度の恩を返すべく力を尽くすこと、お約束いたす。」


 そう言い残し、二人の協会員は去っていった。ブルートらも荷物の点検を終え帰路へつくこととなったが、各自それぞれに今回の一件を含め思うところがあるのだろう。その晩の野営地が決まるまでは特に会話らしい会話もなく、淡々と歩き続けるのみであった。



48・解放者の決意


「俺はあの二人の話を聞いて、蜂起を早める必要があると思った。これ以上、奴に好き勝手やらせていたら……この地は異界への道とそこからあふれ出す怪物が跋扈する場と成り果てるだろう。」


 野営の準備も終わり夕食のために火を囲んでいるとき、ブルートがそう切り出す。他のメンバーもその意見には同意らしく、異論を唱える者はいなかった。フレッドも心情的にはまったく同意見だが、今のフレッドはそれだけで事を決めていい立場ではない。自然と、抑える側に回らざるを得なかった。


『時が来ぬままにただ領主を討たば、かの者は「叛乱により不当に殺された為政者」という扱いになりましょう。そして、この地に娯楽を求めている皇国本領の有力者によって、そのやり方を引き継ぐ新たな領主が派遣されてくることは目に見えています。状況が整わぬ段階で事を起こすのは、賛成いたしかねまする。』


 暗殺くらいなら成功する可能性はあるが、仮に成功したところで状況は何ら改善されることはない。フレッドとしてはそんな下策を見過ごすわけにはいかないものの、予定より急がなければならないという点は同感だった。そこで自身の案を披露し、くれぐれも事を急くことがないようブルートらにも納得のいく説明をするしかなかった。


『今回、あの二人によって有益な情報がもたらされました。一つは、かの者がはぐれ術師を雇い道を開いて怪物を集めていること。そしてもう一つは、その怪物を使って命のやり取りをしていることです。この二つの真実を柱に、あることないこと混ぜ合わせ噂を流しましょう。例えば「領主は捕らえた者を怪物と戦わせ愉しんでいる」という噂を流すとして、我々自身でそれを確かめたわけではありませんが、情報を照らし合わせて考えるにおそらく事実です。そういった事実の中にかの者らがやりそうなことを適当に並べ立て、民衆の反感を煽りましょう。』


 そうして流した噂や嘘の中には、事実やそれに近いものが出てくるだろう。実際ザイラスには術師と思しき姿の者は確かに多くいたことを利用し、噂を流すこともできる。「領主が彼らを使って怪物を呼び寄せ、民衆を餌にしようとしている。手始めは捕らえた者だが、いずれは地方の村人がそうなるだろう」というのは根も葉もない真っ赤な嘘だが、実際に道が多く出現するようになり困っている人たちがいて、犠牲になっている人もいる。事実の成分を微塵も含んでいない……というわけではないのだ。


「そうだな。奴の娘は第1界の生まれで、異界の怪物を喰う習性があると流せば……アレを知る者は大半が信じるだろう。そうやって奴らへの反感を煽り、奴らが墓穴を掘るのを待てと言うんだな?」


 酷い言われようだが、領主の令嬢はそんなにすごいのか……と思ったが、機会を待つようにという肝心な部分は伝わっているようでフレッドは胸をなでおろす。ただ、彼の計画も大幅な前倒しを迫られることは確実だった。その中でも最大の難関となるのは、領主の手先として民衆を弾圧するであろう州軍と戦う術である。


『州軍はおよそ4千ほどの規模と聞き及んでおります。とはいえ要衝の守備隊なども含みますし、そのすべてを同時に相手する事にはなりませんが、それでも千ほどは兵を集めない限り厳しい戦いとなりましょう。私の想定では3年ほどかけてヘルダ村の城砦化を進め、それと並行して働き先を失った者らを兵として鍛え上げるつもりでしたが……どうも時間が足りなくなりそうですね。』


 いずれ民衆の怒りや不満が頂点に達し、大規模な暴動に発展するということは予測していたが、まだいくらかの猶予があるとフレッドは考えていた。しかし流言によって反感を煽れば、予測より早い段階で叛乱が起こるのは確実である。ここで民衆を解放するために颯爽と現れ非道な領主と戦うのは、ブルート=エルトリオ率いる解放軍という流れなのだが、肝心要となる解放軍の編成がこのままでは間に合わないのだ。


「俺とダウラスが皇国本領にいた時の付き合い関係で、傭兵団が2つばかしは呼べるかもしれん。だが、それでも千には届かないな。そもそも4千の敵に千で本当にいいのかって疑問もあるが、とにかく手持無沙汰な奴を鍛えて数に入れるしかねえか。」


 ブルートも傭兵稼業に勤しむ時代があったからこそ、数で大きく劣る側の苦境は数字以上に厳しいものであることは骨身に染みている。倍以上の敵というだけでも困難であるというのに、最低で千というのは気を使っているのか、それとも話を盛っているかのどちらかではないか……との疑問を抱かずにはいられない。自分たちや多くの民衆の運命を左右する話である以上、詳細な説明を求めるほかなかった。


『ザイラスを守る隊が精鋭500ほどと仮定しまして、州の北側の鎮圧に向かうのが残り3500の半数、南側に半数のそれぞれ1750を振り分けたとします。我らはまずヘルダのある南側に来た敵と対峙し、北の隊が合流するまでに戦いを終わらせれば1000:1750で敵の数は倍にもなりません。その1750も、解放軍の存在に気付くまでは各地の暴動を迅速に鎮めるために分散することもありましょうから、おそらく初戦は千の集団で動く我らが数で勝っている可能性も高いと思われます。そして一度でも勝てば、勝ち馬に乗ろうとする者も必ず出てくるでしょう。そう言った者どもは戦力として当てにはできなくとも、見せかけの数としては役に立ちます。つまり、初戦を勝ちうる鍛え上げられた兵を集められれば、以降の流れはこちらに傾きましょう。そう言う意味での、千ということです。』


 実際にフレッドの言うようになるかは不明なものの、仮に4千すべてが一個の集団として行動し地方の暴動鎮圧に出向くなら、戦って勝つことは不可能なものの鎮圧が完了するまで一部隊で州全体を回るため時間を浪費することとなり、その間に守備兵が留守となったザイラスを千の兵で制圧することは容易い。敵が分散しないなら戦わずに本拠を奪い、分散したら少ない敵から叩いて数を減らす。フレッドの中ではすでに行軍計画は完成していたのだった。


『懸念があるとすれば、まず千の精鋭を集められるかですね。そこは、お二人の知己だという傭兵団には期待させていただきましょう。あとは各地で暴動が起こっても、かの者がいっさい動かないという道を選んだ場合ですが……これは普通に考えれば暴動を放置するなど、統治者能力がないと言って回るようなものですから大丈夫だとは思いますけど、仮にそうなれば外圧が必要となります。皇国が鎮圧のために動いたと聞けば、後の処理で統治者の責任を問われることは必至のため皇国軍到来の前に決着を付けようとするでしょう。ユージェが動き出したと聞けば、やはり暴動は鎮圧し皇国本領からの援軍を迎えなければなりませんから動くはずです。まあ私としましては皇国軍には来てもらいたくないので、この策は使わずに済ませたいところですが。』


 種族的に最も長命で、後に解放者たちの最後の生き残りとして記されたティルアリア=ウルス=リムの回顧録によれば、「フレッド=アーヴィンという男の叛乱軍加入がなければザイールの解放にはもっと多くの時間と、多くの犠牲が必要だったことは疑いの余地もない」と記されている。その一方でフレッドの生涯をこう評している。曰く「彼は同じ方向を見てはいても、同じものを見てはいなかった。彼の視線は常に遠い先に向けられていて、多くの人は彼が見ていたものが何であったのかを、彼が整えた道を後から歩いて行き知ることとなった。その時になって彼の真意にようやく気付き、彼に感謝したいと思っても、彼はもう立ち去ってしまっていた。白銀の乗り手は多くを語らず、ただ道を指し示す。そして同時代を生きる多くの人々に理解されることがないまま、戦いに彩られた人生を駆け抜けたのだ。」と。そして数少ない理解者の一人として記された男が決意を口にする。


「傭兵団へのアタり俺たちに任せてもらおう。噂のほうは冒険者関連は俺とテア、民衆はマレッドとダウラスとフォンティカに任せる。フレッドには軍の編成を任せようと思うが、それでいいな?」


 今後の役割についてそう手短に指示を下すと、ブルートは改めて確認しておきたいことがあるとメンバーに伝える。その顔からはいつもの余裕綽々といった雰囲気は消えており、真剣そのものであった。


「これ以降は、俺たちのやり様でどれだけ不幸になる人間を減らせるかが決まる。だが、残念なことに誰一人として不幸にならないで済む道はない。俺たちは踏み台にしちまう人々の数に見合うだけの、よりよい未来を掴まねばならんのだ。しかし、場合によっては俺たちに恨みを抱く者も現れよう。もしかしたら、まともな死に方もできない可能性だってある。それでも……この地に住まう者の未来のために戦える覚悟があるというなら、どうか力を貸してほしい。」


 これは「もしその覚悟がないならこの話からは手を引いてくれ」という意味も含めた、確認のための言葉だった。しかしこの場に異を唱える者は存在しない。


「私は貴方に生きる理由を頂きました。その恩をお返しするまで、我が盾は貴方と共に在ります。」


「やっぱり付いて行くなら膨れたブサイクよりいい男よネ。それに色々と治療し甲斐のありそうな話になってゾクゾクしちゃうワ。」


「私はですね、ファロールも分け隔てなく暮らせる場所にしてくれるというお言葉を信じてついていくことにしてるんです。頑張りますです!」


「わたくしは、わたくしの矜持のために。ですが見ている先も、そこへ至るために歩む道も同じであり、共に往くことをお誓いいたしますわ。」


 メンバーそれぞれが想いを打ち明け、覚悟は決まっていることを表明する。そして全員の視線がフレッドに注がれ、その口が開かれるのを待っている。フレッドは少し考え、話を始めた。


『ある男がどこかの国で、よりよき未来を信じて戦い抜きました。しかしその結果が本当によりよき未来になるかどうかを、男が知ることはないのでしょう。それと同じで私たちが進む道は、本当にそれが正しかったのかを知ることが非常に難しいものなのだと思います。であれば、せめて今の自分が正しいと信じられる行いを重ねていくしかないのだと……私は私の信じる正義を貫き通すとお約束します。』


 自らをクロトと呼びたくなかったのか、フレッドは敢えて「ある男」という表現をしたが、その話が彼自身の経験談であることは全員が理解していた。そして叛乱が本当によりよき未来につながるのかは分からず、ともすれば大罪人の烙印を押されることになるかもしれない。しかもそれは当人が生きている間とは限らず、死後に「連中はなんてことをしてくれたのだ」と憎まれることもあり得るのだ。だがそれに怯え、何もしなければ何も変わらない。ならば正しいと思える行いを重ね、その行いの審判は未来に委ねるしかないのだ。


「皆の覚悟は確かに受け取った。これより我らはこの地の安寧のため、本格的にゼニス=キーヴォ辺境伯の打倒を目指す。よろしく頼むぞ!」



49・朴念仁の双璧


『その懐剣はフォンティカさんに進呈します。あの森でのご活躍から察するに、私が持っているよりその剣も人の役に立てて喜ぶでしょうからね。』


 野営を終えヘルダへの帰途につこうとしたその時、フレッドはフォンティカに呼び止められる。人見知りが激しい彼女から話しかけてくるとはめずらしい……などと考えつつ応対していると、貸した魔道具[永遠継続の閃光]を返すということだったのだ。しかしフレッドはその申し出を断り、それを託すと伝える。


『実際、私にはその懐剣を使う機会はありました。レヴァスも最初のうちは目で獲物を追っていましたから、目くらましが効いたかも知れません。しかし私が選んだのは槍でした。私自身が本質的には武人たらんと考えているせいか、いくつもある選択肢の中で、有効かもしれなかったその懐剣を選んであげることができなかった。申し訳ないことです……』


 人のために作られた道具は、人に使われてこそ価値がある。しかしフレッドにとって永遠継続の閃光の優先度は高くなかった。かつてリリアンを救った時のように、それを使うしかないという状況以外では夜に明かりを灯すのが面倒な時にランタン代わりとする程度のものでしかなく、それでは真価を発揮させているとは言えない。真価を発揮させることができる使い手の下に置かれたほうが道具も幸せなはずなのだ。


「それでは、返してと言われる時までお借りしておくのですね。ただ……鞘はこれじゃないとダメなのですか?」


 永遠継続の閃光は対となる鞘に収まっている間に光を蓄えるため、新たに対となる鞘を作らない限り別の鞘に納めるとただの懐剣になってしまう。しかし新たな鞘を作るには腕のいい魔導士を探し、何より相当な出費を覚悟しなければならない。今のままでも十分に拵えの良い鞘であり、どこに出しても恥をかくようなこともない品のため、フレッドには鞘を変えたがる気持ちが理解できなかった。


「ハッハッハ!フレッド殿にはお分かりにならぬようだな。類まれな戦略眼をお持ちでも、このあたりは年相応の若者であるか!」


 そう話すのは、フレッドより5周期ほどしか離れていないダウラスだった。彼もパーティ内では「鈍感のニブチン」に属するタイプだが、今回はフォンティカが鞘を変えたがる理由に心当たりがあるという。フレッド以外のメンバーには「そんなはずがない」と動揺が走ったものの、全員がその言動に注目していた。


「まず、その懐剣の鞘は確かに見事な拵えだ。しかし、かえってそれがよくない。」

(おおっ!)


「フレッド殿がそれを身に着けていたことを知るヘルダの住人もおろうし、その鞘なら一度でも目にすれば忘れまい。」

(おおおっ!)


「そんな状況でフォンティカがそれを身に着けていれば、思い違いをしてしまう者も現れるであろう?」

(おおおおっ!)


「フォンティカは、盗人と勘違いされるのを避けたくて鞘を変えたいと申しておるのだ。お分かりいただけたかな?」

(うへぇ……)


 途中までは正解していたが、最後の結論部分が誤っていたためフレッド以外は思わず脱力してしまった。答えはもちろん、フレッドが貴重で高価な魔道具を贈ったと知れば心を乱すであろう娘がいて、フォンティカは歳の近いその娘とは仲良しでフレッドに対する気持ちも知っているからである。しかし一方の当事者とくれば、そんなことには微塵も気づかない。


『なるほど、ダウラスさんの意見には傾聴の価値ありですね。ではヘルダに戻りましたら、皆に私がフォンティカさんに魔道具を贈ったことを大々的に伝えましょう。そうすれば、盗人に思われることもありますまい。』


「うむ、それは良案だな。そうすればフォンティカがそれを持っていても疑われる心配はないであろう。」


 そう勝手に的外れな考えを結論付けて高笑いする二人を見て、それはやめてとも言い出せず半ば涙目になっているフォンティカがあまりに哀れと思ったのか、テアが助け舟を出す。彼女は「隠密行動も多いフォンティカに豪華な拵えの鞘は目立ちすぎるゆえ」と偽り布で厳重に覆う処置を施し、柄部分にも滑り止めと称し布を巻く。この処置により見た目に関しては、ほぼ別物となったのだった。


「でもフォンティカ、リリアンにはあなたからちゃんと経緯をお話しするのを忘れないで。これは別にやましいことではないのだから、険悪な仲になるなどの心配は必要ありませんわ。隠したり、嘘をつくほうが信頼を失ってしまいますからね?」


 それにしても……とテアは思う。フレッドはかつてクロトだった時分にダルトン家の令嬢と懇ろな仲であったと聞くし、厄災で失われたとのことだがダウラスには妻子もいたと聞く。いったいこの朴念仁どもがどのような方策を用いてそうなったのかは研究の価値がありそうで、平和になり時間が出来たらぜひ謎を解明したいものだと考えるのだった。


「よし、準備は済んだな。ではヘルダに戻るか。何もなけりゃ今日中には着くだろうが、最後まで気は抜くなよ!」


 こうして3日ばかりの短い探索は終了する。しかし叛乱を画策する一集団が軍を目指して具体的に動き出す契機となった事件であり、冒険者の集まりであったブルート一行がこれ以降は軍組織の色合いを増していくのである。L1025も育成期に入ったその日は、叛乱軍として最初の戦いに臨むちょうど1周期前であった。

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