雪の幸

ふり積もるわた雨


甘すぎる白は

僕らの心をくすぐっている


通勤の帰り道

線路沿いの住宅の地


変わらないはずの田舎が

僕の幼さを映してた


空白の色に意味が加わる


何もない、はずなのに


僕は情けなかったんだね


空白もちゃんと、一人なんだって


初めから気づいていれば良かったのに


歳上の女も小さく見える


体が大きくなったからじゃなく

僕の中のぼくがあの白を温めたから


溶けながら溶けながら

最後に君と別れる

今日だけは運命《さだめ》を忘れて

昨日以上に君を想う


桜の匂いがするようになっても

きっと君は約束を忘れずに眠る


巡り会えるなら何処かで

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