ハイダウェイリザードストーリー

水金 化

プロローグ

 この世のどこかには、猫たちの暮らす国がある。

 何年か前にテレビで見た映画だ。

 当時中学生だったわたしは、そんなわけあるかーって思っていたけど、同じくらい、本当のあんな国があったらいいなと思っていた。

 あの映画では猫の国だった。

 でももしかしたら、猫以外の国もあるんじゃないか。

 例えば犬とか、兎とか、亀とかでも面白いかもしれない。

 けれど所詮は誰かが作った、この世に存在しない国の、この世に存在しない物語なわけで。

 だからこそ魅力的なのかもしれない。

どんなに可愛くても、どんなに愛らしくても、猫たちは人の言葉を話さない。

 現実にいきなり猫が喋り出したら、ファンタジーどころか下手をするとホラーだ。トラウマになりかねない。

 ……。

 ……。

 ……。

我ながら、あんな経験をしてドラウマにならなかった自分を誉めたい。

あの日わたしが経験したものは、ホラーでありファンタジーであり、しかし紛れもない現実だった。

あの日わたしが迷い込んだのは、トカゲの国だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る