まどろむ
誰にしてみても、まどろみの中での出来事は、ほとんど夢と同じもので。たとえば、朝にはまだ遠い時間帯。偶然目を開いてしまった彼女の場合にも、やはりそれは当てはまった。
毛布を巻き込んだのんびりとした寝がえりに、カザリアの思考はぼんやりとゆすられた。
寝床に伝わるあったかさに、彼女は開きかけた瞼をゆるりと下ろす。
いつの間にやって来たのかしら、とカザリアはほどけゆく思考の中で呟いた。
何をしているのか、ここ数日、ロウリエは寝るのが遅いため、カザリアが先に寝ていることの方が多い。
鼻先にやたらと苦そうな匂いがまじって、カザリアは『あぁ』と眠りながら頷いた。
そうか。やっぱり薬なんだわ。起きたらほどほどにしなさいって言わないと。明日はちゃんと言わないと。
こくり、とカザリアは頷いて、あったかな胸に顔を埋めた。
手を伸ばして握れば、寄せた額はじんわりとあたたかくって。やわかくって。
おとこのひとってやわらかいんだわ、と笑みを零したカザリアは、その日も再び夢の中に戻った。
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