第57話夏の日の1991

1991年 それはバブルの絶頂期であり彼女の青春時代でもある。

彼女が結婚するすこし前の頃だ。

彼女は大学を出て、とある測量会社のOLとなった。

そこでめぐり合った、取引先の会社の、ある有能な男と結婚することになる。


彼女の結婚相手への条件として…

身長が180センチ以上

結婚してすぐに2人で住める庭付き一戸建ての家を高級住宅街に用意出来ること

この2つに焦点は絞られていた。

絞られたといってもそこにオプションが付かない筈はなかった。

年は離れすぎてないこと。

年下は絶対ダメ。

当時、流行語にもなった、3高というやつだ。


これだけでも

そんなやつなかなか居ない。


30そこそこで庭付き一戸建てを、しかも高級住宅街に持てる財力と

180cm以上の恵まれた体系

当然、鶏がらのように細いことはオプションに組み込まれていた。

甘いマスクも当然だった。



そして彼女は27歳の時に結婚した。

1991年はそれよりすこし前のことだ。


彼女は昔話をあまりしてくれなかったし

僕の方にもこれと言って興味は無かった。


優子のそんな青春時代の話は

僕と優子の共通の友人であり、彼女の25年来の友人でもある

中村さん、旧姓カツラウマ、そして僕のことを“ようちゃん”と呼ぶ

あの中村さんだ。


優子は、中村さんをナカちゃんと呼ぶ。僕以外誰もカッチャンと呼んだりはしな

い。

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