最弱と思っていた俺は実はすごかったなんて知らなかった
天龍寺凰牙
第1章、入学編
第1話 新旧差別派と固有武装のない復讐者
西暦2030年、世界で初めて|固有武装《リベレイト》の適合者が現れた。
固有武装とは、一人一つだけ持てる武器のことで、武器に魔力を送ることで使える武器だ。
人は誰でも魔力を持っているが、武器に魔力を送れる者は2030年以前はいなかった。
これは12年前のできごと
家族一同(母親とふたり)で食後の団らんを過ごしていると家のインターホンがなる。こんな夜遅くに誰だろうと思い玄関に向かう。
そしてドアを開けると
「新旧平等派の家だな。こちらに来てもらおう」
母親はドアを閉め、鍵を掛けた。
「誠一郎、いい?クローゼットの中に隠れて私がいいと言うまで絶対に外に出ないこと。いい?」
どうして、そう言おうとしたが無理矢理押し込まれた。その瞬間、ガタンという音をたててドアが破られる。
「今の見たな、相棒」
隣にいる全身黒のスーツの男に聞く。
「ああ、見たぞ相棒」
男は肯定の頷きをし、
「殺す」
「殺す」
二人はハモって宣言すると武器を手に呼び出した。
母親も手に呼び出す。
二人が呼び出したのはダガー型の武器と弓型の武器。
対する母親は鏡型の武器だ。
そして互いに向かい合い、次の瞬間
ダガー型の武器を持った男が前へ駆け出した。
母親は鏡を前に突き出し攻撃を受けようととした。その瞬間もう一人の男が矢を放った。
その矢が母親の腹部を捉えた。
そして動きが遅くなった瞬間にダガーで次々と攻撃をかける。
その攻撃がすべて母親に当たり膝からたおれる。
倒れた母親に矢でとどめをさした。
「一人消去しました」
虚空に呟くとクローゼットを手当たり次第に開けていく。
その音が少しずつ近づいてくる。次は自分の番だと気付いた誠一郎はガタガタ震えていたが意を決してクローゼットから出てくる。そして母親を見た。
誠一郎が出てきたことに気付いて
「逃げたりしなければ攻撃はしないよ。だからこっちに来て」
そう言い手を差し出してくる。しかし誠一郎が渋っていると
「クソ、早く出せよ」
イライラして手を出そうとした。その瞬間手を払いのけてしまった。
「オイ、なんのつもりだ。まさか拒否するともりじゃないだろうな。そっちがそのつもりなら」
目の前の男がダガーを構えた。そのとき、母親の死に際の声が蘇ってきて逃げ出した。
「逃げ出したぞ、追え」
誠一郎を追いかける。刀が置いてあるところまで追い詰められた。
「逃げられないぞ、もう」
じりじりとちかよってくる。そしてダガーの攻撃を受けそうになった瞬間
「・・・」
目が覚めた。はあ、はあ、と荒い息をする
「ふう、夢か」
夢で良かったと思った誠一郎だった。
適合者が現れてから80年、元世界ランク二位の赤城栄二郎の息子、誠一郎が私立覇王学園へ入学することになった。
俺は赤城誠一郎。今日から3年間私立覇王学園へ通うことになった。
覇王学園とは、固有武装を使えない人を旧人類、固有武装を使える人を新人類とし、互いに支え合うべきだとする新旧平等派が創立した固有武装適合者を育成する私立学校だ。
その道の途中で想定外の事態に遭遇してしまった。
目の前に男が一人現れた。
「お前、まさか覇王学園に行くんじゃないだろうな。」
「え?そうだけど。」
なんだろう、なにか問題でもあるのだろうか。
「じゃあここで死んでもらうか。新旧差別派に反乱を起こそうとする新旧平等派は。」
え、ウソー、言っちゃダメなやつパターンかよ。
新旧差別派とは、旧人類と新人類は互いに支え合うべきだとする新旧平等派と対立している派閥だ。
現在、世界各地で新旧平等派と新旧差別派が戦争をしている。そして目の前で銃を構えている男は新旧差別派の人間だ。
「俺は新旧差別派が嫌いだ。俺の母さんは新旧差別派に殺された。だから俺は新旧差別派を滅ぼす。」
そういって俺は、背中の剣を抜いて目の前の男に走り出そうとした。
すると、水色の髪の少女が出てきた。
「ちょっと、新旧差別派は仲間がやられると仕返しにくるのよ。1人で奴らと戦争を始めるなんて無茶ですわ」
と少女が剣を抜いて俺の目の前に立った。
「そういうもんなのか?」
「そんなことも知らないで戦おうとしたんですの」
「お前も新旧平等派なら殺すぞ!」
「ええ、そうよ」
「なら二人まとめて殺してやるよ」
やばいやばい、殺す気だ。
男は銃を撃った。男が撃った弾丸が少女に向かって飛んでいく。
俺は目の前に立って、男が撃った弾丸を叩き落とした。
すると男は信じられないものをみたように目を見開いて
「な、なんだと!クソ」
男は再び銃を撃とうとした。だから俺は体を前に倒して目にも止まらない速度で接近する体技体倒崩速(ていとうほうそく)を使用した。男は驚きその場に固まる。誠一郎は躊躇なく峰打ちで男を気絶させた。
「なんですの?今の。全く見えなかったですわ。何をどうやったらあんな速さが出せるんですの」
「別に普通じゃない」
びっくりしている少女に俺は淡々とそう言った。
無理もないだろう。
この体技は対人戦闘を極めようとしている人にしか知られていない体技だ。
「まあいいですわ。急いでいるんで失礼します」
少女はもりの奥に走っていった。
俺も急がないと。初日から遅刻するのはまずいからな。
続く
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