こわいもの【インドネシア】
スペイン人のRさんはある年の夏、恋人とインドネシアを訪れた。
夜、宿泊先のホテルで休んでいると突然、ガンガンガンガン! と大きな音が部屋中に鳴り響いた。
二人は驚いて飛び起き、何事かと顔を見合わせる。
ガンガンガン!
また大きな音が鳴った。壁を金づちで思い切り叩いたような音だった。
隣の部屋の人が叩いているのだろうか? するとまたガンガンと大きな音がする。
今度は上の方から聞こえた。二人して音の方へと視線をやると、天井ちかくにいる”それ”が目に入った。
ガンガンガンガン!
どうやら大きな音を出しているのはそれのようだ。ガンガンと壁を震わせながら移動している。
「えっ?」
Rさんが思わず声をあげると、それはきゅっと彼女の方へと首を向けた。そして口を大きく開け
ギャーハッハッハッハッハ
と人間が笑うような声で鳴いた。そしてまたガンガンと大きな音を立てながら窓の外へと消えていった。
中国のレストランで一緒に食事をしている時に聞いた話である。Rさんは「あれ怖いんだよね。うるさいし。中国のは静かだけど、日本のはどう?」と、ヤモリを指さして言った。
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