季球妖物語

柊らみ子

前口上

前口上

 ――あやかしとは、人の心が映し出すもの。

 人と人とがぶつかり合ううつつの世だからこそ、それは生まれ落ちるのです。

 夢と現実。不思議と真実。そして、妖と人。

 どれが欠けてもいけません。どれが欠けても、物語は成り立たない。

 ――ええ。

 所詮、この世は物語。

 狭間の世界で綴られた、哀しくも可笑しな物語なのです。




                 種田草雲たねだそううん著:「季球妖物語りきゅうあやかしものがたり」より

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