小瓶

向日葵

第1話 出会い

 キラキラ輝く水面に、ただ一つだけ。違う輝きがあった。

 あの輝きは何だろう。

 思いっきって手を伸ばすが、私の短い腕では届かない。

 近くの私の胸くらいの高さの草をつかみ、再び手を伸ばす。あの輝きまで…あと15cmくらいか。

 もう一歩ふみ出した時、草がちぎれ、私は川に落ちた。

 「バチャン!!」 

 まぁ、落ちたというか、コケたのだが。

 「…うわー、最悪。」

 小声でブツブツ文句を言いながら私は輝きに再び手を伸ばした。

 輝きは、石と石の間に挟まれていた。


 「び、びん…?」

 輝きの正体は人差し指ほどの小瓶だった。

コルクは変色しておらず、まだ新しいものだと思う。 

 「ポンッ」

 気もち良い音をたてて、瓶が開く。

 瓶の中には小さなメモが入っていた。幸い、メモは全く濡れておらず読めそうだ。

 自分の手を拭かなければと、セーラー服のポケットに手を伸ばすが、全身びしょ濡れだ。

 「うわ、くっさ」

 今さらながら、自分の臭さに気付く。田舎でも川はどこかドブ臭い。

 瓶をコルクで閉めて、川から出る。

 橋の下に置いた自分の鞄からタオルを取り出し、体を拭いていた時だった。

 「みつる!大丈夫!?」

 川を挟んだ向こう岸から声が聞こえた。

 みつるとは、私の事だ。

 「え、大丈夫だけど。」

 「ちょっと今からそっち行く!!」

 「え、いい…」

 言い終わらないうちに声の主である、なつきは走り出していた。

 

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