第10話トラ船長と時間犯罪③~タイムトンネル

 三人が階段を下っていくと、古いレンガ造りのトンネルに出ました。所々にほのかな灯りがともっていました。トンネルは長く続いていましたが、先のほうは暗くてよく見えませんでした。すこしむこうに、2メートルほどの手足の長い頭の先がとんがった宇宙人がみえました。宇宙人が立ち止まってこちらを振り向くと、顔は大きな非対称の緑に光る目と裂けたような口をしていました。

フッフッフッと低い声を出しながら、さらに奥のほうへと走って行きました。三人が追いかけていくと宇宙人はスピードを上げてどんどん奥へと逃げて行きました。あまりにも宇宙人は速く走るため、三人はまったく追いつきませんでした。そして、宇宙人はあるところで斜め上へ向かう階段を駆け上がって外に出てしまいました。トラ船長が後を追って階段を上がろうとした時、テリア警部が大声で呼びかけました。

「やめろトラ船長。上に出ないほうがいい!」

「ここはどうもタイムトンネルのようだ。上に出ると何十年か前の別世界に出て戻って来れなくなるぞ」

 三人はうす暗いトンネルの中を引き返し、もとの部屋に戻っていきました。

「もう少しで捕まえられたのに」

「過去の別世界も見たかったなあ」

「あの宇宙人はこのトンネルを使ってタイムトラベルさせて金もうけしていたんだ」

 三人は建物をでて、マタタビ号に戻りました。宇宙人のいた洋館を光子ミサイルで破壊しようと、モニターで照準を合わせました。しかし、洋館は姿かたちもなくなっていました。

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