第10話 紅龍

『ホン・ロン』

『王留美』に使える美青年。

 一使用人の立場であるが、実は『王留美』の実の兄。

 資質に欠けるという判断で当主にはなれなかった残念なお兄さんである。

 妹のことは『お嬢様』と呼び付き従っている。

 使用人というよりボディガードとして付いていたようで、自分の代わりに当主となった妹には負い目もあったようである、つまり当主とは、そういう役回りなのだろう。

 妹の行動には理解を示しているわけではないが、忠実に従い、最終的には『留美』が私兵として雇った『ネーナ・トリニティ』により妹を庇い死亡している。


 不遇の兄なのか…無能な兄なのか…よくわからない人物である。

 そもそも、妹にお前のせいで人生が歪められたと責められたときにショックを感じていた素振りがあったが…負い目を感じているなら、ショックでもないだろう。


 …よくわからないお兄さんなのである。

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