ＭＭＡ・ブラジリアン柔術・バーリトゥード

第1話 最強の格闘技

　“最強の格闘技はまだ決まっていない”

　というのは大嘘です。

　第一回ＵＦＣは、目潰しと噛み付き以外、つまり金的も指折りも許可されたルールでした。

　勝ったのはご存知ホイス・グレイシー。

　まあ、イベントを主催したのも選手を選んだのもグレイシー一族なので、当然といえば当然の結果なのですが、実際にボクシングや空手、中国武術やプロレスを倒したのは事実です。

　この時点で、最強の格闘技はグレイシー柔術でした。

　そもそも、最強の格闘技を決める戦いを開催するとして、どのようなルールにするのか。

・打撃アリ

・投げ技アリ

・寝技アリ

・放送できなかったり、参加者が集まらなかったりするので、目潰しや金的攻撃、指折りなど、危険すぎる技はナシ

　という感じのルールになるでしょう。

　そうなると、殆どＭＭＡ（総合格闘技）と変わりません。

　当然、普段から同じようなことをやっているMMAファイターが勝つでしょう。

　もし、MMAファイターが勝てなかったとしても。

　このルールでボクサーが勝とうと思えば、投げを耐える技術や、投げられて押さえ込まれてから脱出する技術、キックのディフェンスを覚える必要があります。

　柔道家が勝つためには、打撃を覚える必要があります。

　そうなると、ボクサーはボクサーではなくMMAファイターに、柔道家もMMAファイターになります。

　結果、誰が勝っても最強はMMAです。

　ＵＦＣも、時代が進むと、柔術だけでは勝てなくなり、どの選手も打撃・投げ・寝技を当然のように覚えるようになりました。今ではＵＦＣは異なる格闘技が戦う場ではなく、MMAという競技を行う場です。

　殺し合いや、銃でも刃物でも何でもありの武術ならともかく、コンバットスポーツである『格闘技』というカテゴリにおいて、最強はＭＭＡです。