第六十九話『巨大なモンスター』

「よし、じゃぁ、森のパトロールにいくよ〜」

ヒカルがそう言った。


僕達は学校を出て森に入っていった。

「確かに、モンスターいないみたいね」

とニコが言った。


「ほんとにキングだったんだなー。あのキングゴーレム」

「そうね〜」

とヒカルが言うが彼女は慎重だ。

笑顔を絶やさないが、周りをしっかり見ている。

そして、モンスターがいないことを確認したようだ。


「いつもは、キングゴーレムはどの当たりで出てたの?」

と僕が皆に聞いた。


前回、森の手前にキングゴーレムが現れたのは、かなりのイレギュラーな事態であるとヒカルは言っていた。

となると、もっと奥で現れるのだろう。普段は。


「もっとずっと先よね!めったに見かけなかったし」

とニコが言った。


「奥に行き過ぎちゃった時に、遭遇しちゃう感じか」

と僕は理解した。

そして、今までは出会ったら、すぐ引き返していたのだろう。


「そういえば、キングゴーレムの家ってあるのかな?」

と僕は疑問を口にする。


そもそも、モンスターの生態はよくわかっていなかった。

自然発生しているのか、野生動物のように、そこに暮らしているのか・・・。それすらもわかってはいない。


「そうか!それを探すといろいろわかりそうね」

とヒカルもピンと来たらしい。


それが見つかれば、モンスターの生態のヒントになるはずだし、今後の対策のヒントになる。


「もう少し進みましょう。なにか出たら戦わずにすぐに呼ぶのよ、特にニコちゃん!」

とヒカルが言う。


「わかってるわよ!もう勝手に戦わないわよ!」

とニコが言う。


僕と最初に会った時の事を言っているのだろう。

彼女が一人でモンスターを退治しに行って、ヒカルにすごく怒られていたっけ。

たまたま僕がいて、倒したんだったな、と思い出した。


「あ、これがそうじゃない?」

と僕は、モンスターの生活の後のようなものを見つけた。


「これがキングゴーレムの家・・・」

とヒカルは、辺りを見回す。

そして、ここまで、モンスターが一体も出なかったことを思い出す。


「ほんとに倒したんだね・・・」

とヒカルはキングゴーレムを倒し、辺りのモンスターも出なくなっていることを実感した。


その時、僕は異変に気がついた。


『風で揺れている』!!


これは何かが起きている。

そして、その存在に気がついて叫んだ。


「ニコ!後ろ!」

「え?」とニコが言う。


キングゴーレムの家を見て回っていた、ニコの後ろに巨大な影が現れた。それは、キングゴーレムよりも一回り大きい、巨大なモンスター。


ヒカルもその影に気がついて

「ああ、やっぱり出ちゃったか・・・」

と呟いた。


そう、それは明らかに、キングゴーレムよりも巨大で上級のモンスター。


その姿から察して僕が呟く。

「ドラゴンゴーレム・・・」

そう、竜の姿をした、巨大なゴーレムが現れたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る