第七十〇話『ドラゴンゴーレム』

その姿から察して僕が呟く。

「ドラゴンゴーレム・・・」

そう、竜の姿をした、巨大なゴーレムが現れたのだった。


「これはヤバイ・・・な」

「あきらかに、キングゴーレムより強いわね」

と僕とニコが戦闘態勢に入りながら会話をしている。

明らかに強そうなデザインだ。

キングゴーレムはまだおっとりしているなぁ、という印象があったのだが、ドラゴンは顔も怖い。


「グゴォォォォォォォォ」

と、咆哮をあげるドラゴンゴーレム。

その瞬間、空気が動く。

ピリピリと僕らの頬を動かす。


「そもそも、土のドラゴンって、空飛べるのか・・・重くないのか・・・」

そんな僕の、疑問をよそに、バサァと浮かび上がる、ドラゴンゴーレム。

それは優雅な動き、ゆっくりと上昇していく。

そして、ドラゴンはこっちをキッと見ている。


「気が付かれてないなら、こっそり逃げるという選択肢もあるけど・・・」

「ばっちり気が付かれてるわね・・・」

とヒカルが言う。そうバッチリ気づかれている。

というよりそもそも僕らがターゲットという気すらする。


「やるしかないか・・・」

と僕が言う。

小型ナイフを取り出した。


「出し惜しみ無しだ。やつが下りてきたら、いきなり行こう。」

そして、ドラゴンゴーレムは、降りるどころか、そのまま、飛んで向かってきた。


「いきなり最強スキルで、行く」

と構える僕。


『三重炎突 - フレイムブレイカー』


スキルを発動する。

これは今僕が持てる、最強のスキル。


『炎拳 - ファイヤーパンチ』を三回重ねて『三重炎拳 - フレイムヘブン』にした後『速突 - ラピッドスラスター』という突き技を合成した。一撃必殺の炎の突き。


たぶん、僕だけが持つ『スキル合成 - シンセサイズ』を使わないと現れない最強のスキル。『三重炎突 - フレイムブレイカー』。


これで、『キングゴーレム』も倒した、最強のスキル!


「あのキングよりもっとヤバイドラゴンが後ろにいたわけだけど・・・」

と言いながら、構える。


「グオゥゥゥォォォォォォ!」

ドラゴンゴーレムが吠えて向かってくる。


向こうも高速で向かってくる。

こちらも高速で炎に包まれた突きを放つ。


一体どうなってしまうのか。

その衝撃についていま考えることはやめた。

とにかくやらないと、全滅してしまう。


「やるしかない!」


「うおぉぉぉぉぉぉぉ!」

炎に包まれた、僕が飛び出した!


そのとき、僕らの方に向かっていたはずの、ドラゴンゴーレムは急上昇した。


「なんてこと!!」

とヒカルが驚いている。


僕のスキルは発動して、何もいない所に僕は向かっていって、スキルを一回消費してしまった。

つまり・・・空振りをした・・・。


「なんてことだ・・・『避けられた』!!」

そう、僕のスキルの強さを、事前に察知した、ドラゴンゴーレムは僕との直接対決をせずに、上空に逃げた!


「そうか・・・頭もいいのか・・・」と僕は呟いた。

キングゴーレムより頭もよく、スピードもあり、飛翔することもできる、最強のモンスターとの戦いが始まったのだ。

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