第五十七話『よろず屋』

「何言ってるの!なんだと思ってたのよ!」

と、いつもより可愛らしい服に包まれたニコは微笑んだ。


「悪くないね」

と、僕も笑った。


「うん、美味しかった。」

と話しながらも、僕は卵とハムが挟まっているパンを食べ終わった。

朝食にちょうど良い量だった。


「美味しいわよね!」

とニコが頷いた。

ニコもかわいらしい甘いパンを幾つか食べてご満悦だった。


「さて、次どこいく?行きたいところがあるんだっけ?」

と僕は、ニコの朝の言葉を思い出しつつ訊ねた。


「そうね、行きたい所は夕方がいいから、とりあえず散歩しましょうか?私がいろいろ案内してあげるわ!」

「あ、それはいいね!助かるよ!この街のこともっと知りたいんだ」

と僕は言う。

ニコ、リオン、ヒカルが愛して、守り続けているこの街を僕はもっと知りたいのだ。


「よーし!じゃ!張り切っていきましょう!」

「お願いします!」

と僕らは立ち上がって、歩き出した。


「まずは、ここがパン屋さんね!」

もうわかってると思うけど、といいつつ改めて紹介してくれた。

ニコはパン屋さんの奥さんに手を振りつつ、お店を出た。


「で、となりが、カフェでしょ」

と、歩きながら、となりのカフェを紹介してくれた。


「わりと飲食が充実してるんだなー」

と僕は感想を口にした。


「そうね〜」

とニコが頷く。

そして、少し歩く。


「で、ここがアイテム、武器、防具屋さん」

「全部扱ってるんだね!よろずやってとこかぁ!入ってみよう!」

と僕が言う。

この世界の武器をもっと知りたいからだ。

オッケーと、ニコが言いながら、お店に入っていった。


「お、ニコちゃんいらっしゃい!あれ?彼氏?」

と店長らしき人がニコに話しかけてきた。


「ちがうわよ!!もうこのやり取り何回目かしら・・・」

「ごめんごめん!違ったか〜!残念」

と店長らしき人は笑う。


「このヒゲのおじさんは、ここの店長さん!うちにある武器はだいたいここから買ってるのよ!予算で!」

とニコが言う。

「ああ、そういう仕組みだったのか・・・」

と僕は理解した。


「ボールとかナイフとかサンドバッグとかかぁ」

「そうそう、全部うちで買ったやつだな!それは!新品もあるぞ!みていくか?」

と僕の言葉に答えて、気さくなヒゲの店長はお店を案内してくれた。

とはいえ、そんなに大きいお店というわけではないので詳しく説明してくれる、という方が近い。


「ボールに投げナイフ、簡易爆弾もある。これヒカルが使ってたやつだ!」

と僕はいろいろ見て回る。


「そうそう、ヒカルちゃんはうちのアイテムを使うのが上手だからな〜」

「なるほど、これはいろいろ使いこなすと新しい戦いかたができるかもしれない・・・」

と僕は思った。


その後も僕と店長の二人のやり取りは続いた。

これは、どうやって使うんですか?それはなー、こうやって、こうやって・・・。あーなるほど!これは?

みたいな会話をひたすら、ヒゲの店長としていた。


「うんうん、連れてきてよかったわ!」

その様子を見て、ニコは微笑んだ。

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