第22話 読書茫洋

 やあ、おいらです。


 おいらは一応、読書家のつもりですが、ランクでいうと低いほうです。まず、文庫本でしか読みません。なんでかというと文庫には単行本に掲載されていない、ボーナストラックがつくことがあるからです。高いお金出して、単行本を買っても、読めない小説が安価な文庫本に載るなんて酷い話じゃありませんか。

 第二に文庫本を買うのは、大きさが揃っていて、整理が楽だからです。でもね、裏切り者が出たんです。ハヤカワ文庫です。頭が五ミリくらい伸びました。これはどういう考えでやったのか知りませんが、おいら的には猛抗議したい。東直己のススキノ探偵シリーズなんて、途中から大きさが揃わなくなって、仕舞いにくい。さらに頭にくるのは、あの長大な『ローダンシリーズ』は今までの普通の文庫の大きさなんです。えこひいきだ!

 あと、文春文庫も微妙に大きくなりました。たぶん、今後の高齢者問題で、「文庫本は字が読めないよ」という言葉に対応して、本自体を大きくして、活字も大きくしようという考えなのでしょうが、おいら、ユニフォーム主義だから、形が揃っていないと納得できません。抗議の運動を続けます。(嘘)


 おいらが三流の読書家なのはこれだけの理由ではありません。おいらは日本人作家の書いた、ミステリーや冒険小説しか読みません。海外の翻訳物なんて一切読みません。それからエッセイを読みません。ただし、一人だけエッセイを読んだ作家がいます。故中島らもさんです。みなさん『鳩よ!』という雑誌をご存知ですか? マガジンハウスから出ていました。最初は詩の雑誌だったようですが、だんだん文芸寄りのエンターテインメントの雑誌になっていました。それで、掌編小説の公募があるというので、興味を持ったおいらは購読することにしました。(でも、小説は書きませんでした。アイデアは『土俵を叩く男』でした)さて、その何号かめで、中島さんのインタビューがあったのですが、それが噴飯ものの爆笑インタビューだったのです。「なんて、面白い人なんだ」おいらは感動し、中島さんのエッセイ集を買いに本屋へ行きました。エッセイは双葉文庫からたくさん出ていました。おいらはそれこそ貪るように読みました。ギャグの連発に本を見て笑いました。これは外では読めません。

 そのうち、中島さんは小説も書いていることがわかりました。『今夜、すべてのバーで』とか『ガダラの豚』は名作です。

 しかし、大麻事件で捕まってからは、キレがなくなったような気がします。その上、酔って階段から落ち、頭を打って死亡。らしいなとニュースを見ておいらは考えました。

 でも、中島らもを超える、おもしろエッセイ作者は現れないだろうな。だからおいらはエッセイを(ほとんど)読まないのです。

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