第8話 困ったもんだ
やあ、おいらです。
今日は実家の老父に呼ばれて出かけることになったんです。正直、面倒くさい。しかし、顔をみせるくらいしか親孝行の方法を知らないので、万難を排して行くわけです。我が、出入り自由の監獄から、実家に行くには、二ルートあります。ああ、ここはイニシャルでぼやかすと、頭がこんがらがっちゃうから、駅の実名を挙げます。地図なんかで調べたら、おいらの監獄が見つかるかもしれませんね。
まずは近くのバス停から横浜駅西口発中山行きのバスに乗り、中山駅まで行くのです。おいらが監獄から出るとバスが目の前に! おいらはちょっと走って、ギリギリに乗りました。ここで、大変なことに気がつきました。
「レキソタンがない!」
痛恨のミスです。このところ、パニック発作が続いているのに、頓服を忘れるなんて、うっかりミスのチャンピオンだ。おいらは家に戻るか、とも考えましたが、次のバスは一時間後、結局、エイっと、そのバスに飛び乗ったのです。
そしたら、乗った途端、軽くパニック発作が起こったのです。前出しましたが、おいらは頓服を持ってません。このまま進むか? 勇気ある撤退の二択に限られました。おいらは迷った挙句、進軍を選びました。パニックは落ち着いたように感じれれましたました。
中山から横浜市営地下鉄グリーンラインで、日吉本町に行きます。中山は始発駅です。おいらは止まっている電車に乗りました。シートに座っているとまたパニックがじわじわと脳を侵食し、おいらは不安と恐怖に苛まれました。で、電車は出発寸前だったのですが、乗車は無理と判断して、飛び降りました。「レキソタンがあれば……」おいらは激しく後悔しました。「さてどうしよう」おいらは悩みました。撤退して、家に戻るか? とりあえず一歩前に踏み出すか? 幸い、パニックは薄らいだので、進むことにしました。
でも電車に乗ると恐怖が脳を包みます。なので、パニックは死ぬ病じゃない。最悪の状態になったら誰かきっと助けてくれるさ。そう考えたら少し楽になりました。なんとか日吉本町までたどり着きました。それにしてもグリーンラインの車両は普通の電車より小さい。パニックを起こしやすい車両です。
実家へとブラブラ歩いているとパニックは消えました。実家といっても生家ではなく、老人が安く住める高齢者用のマンションです。
お昼を過ぎていたので、実父は昼飯をとっていました。もう少し早く来ていたら、というより、パニックで一本やり過ごしていなければ、外食でもできたでしょう。残念。
しかし、男同士、話すことなどありません。前にもどこかで書きましたが、実父は俳句にはまっていて、結社(同人みたいなもの)に入るほど熱がこもっていて、口から出るのは俳句のことばかり。おいらは俳句に興味なんかないから、それを聞くのが苦痛でたまらない。またパニックが起きてしまいました。でも小さかったので、スマホで「パニック ツボ」と検索して、出てきたツボをギュウギュウ押しました。実父はそれに気づかず、俳句の話をします。おいらに俳句をやらせたいのです。歳時記と俳句入門をおいらに渡してきました。いらないって言えずに受け取りました。
そのうち大相撲中継が始まったので、実父の講釈は終わりました。おいらはチャンスとばかりに辞去しました。
帰りは二十分近くかけて、東急東横線の綱島に出ました。そこから菊名に出て、横浜線に乗り換え、小机で下車し、バスに乗って最寄りのバス停に着きました。リアル割れしてないでしょうか?
監獄に帰ると、ベイスターズ対スワローズを見ました。そしたらパニックがまたやってきました。すぐに薬を飲みましたが、なかなか効いてくれません。一時間くらいでやっと落ち着きました。ベイスターズ三連勝。ウシシです。
それにしても、パニック発作困りました。ずーっとなかったんだけどな。乗り物に乗れない。来週、病院に行くしかないな。
今日も睡眠薬飲んでこれを書いてたら、あっという間に寝落ち。日付をまたいで二時過ぎから三時にかけて執筆しています。無理に書かなくてもいいんですけどね。
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