妖精大戦
@sadameshi
第1話 禁色
『
青の
その手には大振りの山百合が
サナトリウムと化して久しい、
周囲に隣家はなく、蝉の声が波のように耳に寄せては引く、夏の別荘地。
雑草と野花の
薄氷のような、儚い存在の香気。
彼女こそが、あたかも一輪の百合のようにして――。
『そなたが
赤い瞳。
風を表す青い羽織物と、その内に隠された
暗幕のように影となった木立の
穢れを
『調べの意志を奉じる……。そなたは安んじて、その座した
少女の口の
情感の籠った、声にならぬ
『願わくば、もう一度だけ、そなたと
少女はおもむろに百合の花を口に
染み一つない白髪は、途端に
鮮血が皮膚に滲み、露草色の繻子織も徐徐に色を移ろわす。
噛み殺した絶叫。
苦悶に見開かれた赤銅の瞳。
己の
生温い風に、
それは声であって、言葉。
あたかも中空に彫り出された文字のようで、僕の心を
『……さようなら、
百合の妖精となった彼女は、そうして僕の眼前から姿を消した。
その
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