第6話 宵森 緑の過酷で長い一日①
4月 15日 AM0:03
学園島 居住区のアパートの屋上。黒服を着た男が、何かの指示を待つように時間を潰していた。手摺にもたれ掛かり、見つめるのは下の階の一室。
『こちら、ジャッカル1。定位置に着いたな。5分でターゲットを確保。撤収するぞ。時計を合わせろ。ミッションスタートだ。』
『ジャッカル2、了解』
『ジャッカル3、了解』
『ジャッカル4、了解』
『ジャッカル5、りょ・・・』
『ジャッカル5、どうした?応答しないか!』
『見張りのジャッカル5から応答がとれない。ジャッカル2は、ベランダより侵入。3,4は正面エントランスより目標階に上がりドアより侵入。ターゲットを確保せよ。』
屋上にいた男は、手早く手摺にロープを固定。下に下ろす。ロープにフックを引っ掛け下の階へと降りていく。
「いつっ・・・」首筋にチクッという痛みを感じた途端、眠気に襲われロープから手を離してしまった。そのまま真っ逆さまにベランダに落ちて意識を手放す。
一方、正面エントランスから、侵入したジャッカル3と4は警戒しながら、エレベーターに乗り込む。3階のボタンを押してドアを閉める。
3階のランプが灯り、ドアが開いた瞬間、目に付いたのは少女。何処かコンビニでも行くようなラフの格好している。
ジャッカル3は、目配せをして4に、攻撃の指示を出す。4はサイレンサー付きの銃ではなく素手で少女を沈黙させる手段を選択した。
素早く少女に接近して、意識を刈り取る・・・簡単な事だと思っていたが、獲物の少女がニコッと可愛い笑みを浮かべ、消えた。
その瞬間、訪れる首への衝撃で意識を刈り取られたのはジャッカル4であった。
ジャッカル4が倒れこむ瞬間を目にしたジャッカル3は、咄嗟に銃を構えたが引き金を引く前に意識を刈り取られていた。
「こんな所で銃なんか使わないで下さいね・・・」
今のところ100%少女に間違われている男の娘が呟いた。
同日 AM0:08
「おかしい・・・たかだか日本の小娘一人攫うのに何を手間取っているんだ・・・一体何が起こっているんだ?」
「簡単な話です。我がスベェル財団の
ジャッカル1が驚いて後ろを振り向くと・・・そこにはメイド服を着込んだ美女が立っていた。
「手前はなんなん・・・」
ジャッカル1は最後まで言い切ることがなく意識を刈り取られた。
『あーあー、
『了解です。』
男の娘・・・もとい司は、目的地の301号室前まで来て呼び鈴を押す。
ガチャッという音とともに、玄関が開き小さなバックを持った少女が出てくる。
「お迎えにあがりました。お嬢様・・・」最高の笑顔でそう告げる執事の格好をした司であった。
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