短夜やぬりかべ立てる枕元

 短夜みぢかよやぬりかべてる枕元まくらもと


【季語】

 短夜(夏)


【語釈】

 短夜――夏の短い夜。

 立てる――立っている。「る」は完了・存続の助動詞「り」の連体形。


【大意】

 ある夏の短い夜、まくらもとにぬりかべの立っている気配がするのであった。


【補説】

 清少納言(生没年不詳)は夏は夜といったそうだが、宵の方が私にはしっくり来る。夏の夜中は魑魅ちみ魍魎もうりょうのちまたであって人間の活動に適していないように思う。


 蕪村(1716-1784)一門は狐狸妖怪の類を好んで取り上げたらしい。なにがそうさせたのか興味のあるところではある。


 ぬりかべは説明不要かと心得る。


 ときに、短夜に似た季語に明易あけやすがある。


【参考句】

 みじか夜や枕にちかき銀屏風 蕪村

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