球場やいつかの夏を春の草

 球場きうぢやうやいつかのなつはるくさ


【季語】

 春の草(春)――『山の井』(1648年刊)に所出の由。


【大意】

 そこで野球をしたいつかの夏の記憶をうずめるように、球場に春の草が生い茂っているのであった。


【補説】

 芭蕉(1644-1694)の名句(有名な句)「夏草や兵共つはものどもがゆめの跡」を念頭に置く。芭蕉の句はやはり有名な杜甫(712-770)の「春望」の一節「国破れて山河在り。城春にして草木深し」を踏まえているらしい。


 プロ野球の試合をするような球場であればだいたい整備が行き届いているだろうが、地方の零細な球場であれば自然の侵食をゆるすこともあるかと思い。


【参考句】

 風わたり泥も乾きて春の草 嵐雪らんせつ

 里の子や髪に結なす春の草 太祇たいぎ

 日毎踏む草芳しや二人連 夏目漱石

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