むつとして外に出づれば寒哉

 むつとしてそとづればさむさかな


〔季語〕

 寒(冬)


〔大意〕

 むっとして外に出ると寒さが身にこたえるのであった。


〔解説〕

 有名な蓼太りょうた(1718-1787)の


 むつとしてもどれば庭に柳かな


 という句に多くを拠った。蓼太は3000を超える門人を擁したというが、後に正岡子規(1867-1902)によって手厳しく批判されていたかと記憶する。有名な句に


 世の中は三日見ぬ間に桜かな

 名月や生れかはらば峰の松


 等(前者は「三日見ぬ間」として人口に膾炙していた由)。


 さて、蓼太の句は「柳に風」ということわざを踏まえておそらくは軽く受け流すことを説いているわけだが、私の場合は気丈に振舞おうとしてもやはりダメージを隠しきれないといったところか。「寒さ」という季語は往々にして心情的な寒さをいうのに使われているようだ。


〔参考句〕

 椋鳥むくどりと人に呼るる寒哉 一茶

 温泉をぬるみ出るに出られぬ寒さ哉 夏目漱石

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