猫も恋す況んや人においてをや

 ねここひいはんやひとにおいてをや


〔季語〕

 猫の恋(春)


〔語釈〕

「況んや……においておや」は、まして……は言うまでもないということ。なおさら。


〔大意〕

 猫でさえ恋をするのである。人においては尚更であろう。


〔解説〕

 晩冬から初春にかけて、雄猫が雌猫に恋して物狂おしく鳴きたてるらしく、「恋猫」「猫の夫」「猫の妻」など季語として用いられるようである。


 万物の霊長たる人を持ち上げるときの常套手段である、ヒト以外の動物や物を取り上げて、それさえ……なのだから人は云々という論法を皮肉る気持ちで作った。一方で、動物や物ではないのだから云々という論法もご存知のとおりよくされるところであって、ダブルスタンダード(二重基準)の面目躍如の感を抱く。


 漢文体で作ってみた。マンネリ化しないように文体の開発に努めたいと思う次第である。


〔参考句〕

 麦めしにやつるる恋か猫の妻 芭蕉

 猫の恋やむとき閨の朧月 同

 うらやましおもひ切時猫の恋 越人

 おもひ寐の耳に動くや猫の恋 太祇

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る